「ひとり情シス」は、情報システムを担当する社員が社内に1人しかいない状態です。
唯一の担当者が何らかの理由で退職した場合に、情報システムに関連する業務が止まってしまうため、企業にとっては非常にリスクの高い状態といえます。
本記事では、ひとり情シスのよくある退職理由や、退職した場合に生じる問題を解説したうえで、企業が取り得る対策を紹介します。
中小企業におけるひとり情シスのよくある悩みや、その解決策については以下の記事も参考にしてください。
■参考記事
ひとり情シスとは?リスクや問題点をもとに解決策を紹介
目次
ひとり情シスのよくある退職理由としては次のようなものがあります。
それぞれ見ていきましょう。
ひとり情シス担当者のよくある退職理由として、まず挙げられるのが業務過多です。
情報システム部門の業務範囲は、システムの企画・構築・運用・監視・保守など多岐にわたりますが、ひとり情シスでは、これらを1人でこなさなければならず、大きな負担を強いられることになります。
加えて近年は、在宅ワークの普及により、情報システム部門の業務範囲がさらに増えたことも、ひとり情シス担当者が退職を考える理由になっています。
コア業務に集中できないことも、ひとり情シスが抱えがちな悩みのひとつです。
ひとり情シスに陥っている会社は、その担当者以外の社員が、情報システムの知識を持っていないケースが少なくありません。
そのため、ひとり情シスの担当者は、「パソコンのことは何でも知っている人」と見なされ、社内マニュアルを読めばわかることで質問を受けたり、ワード・エクセル・パワーポイントなどの作業ツールに関する操作方法の質問を受けたりすることがあります。
これらの対応に追われて、本来の業務に集中し辛い状況が続けば、ひとり情シスの担当者が退職を考える原因になりかねません。
ひとり情シスに陥っている会社では、前任のひとり情シス担当者が退職した際に、スキルのない社員を後任に据えざるを得ないケースが少なくありません。
こうなると後任の担当者は、ただでさえ業務過多になりがちな情報システム部門の仕事を、スキルがなく、教育してくれる上司もいない状態でこなすことになります。
このような状態では、後任者にも当然大きな負荷がかかり、スキルを身につける前に退職してしまってもおかしくありません。
ひとり情シスの会社では、担当者以外に、情報システムの知識を持っていないことが少なくありません。
そういった状況では、情報システム部門ならではの苦労や悩みについても相談できないため、担当者は1人で悩みを抱えがちになり、退職に至ってしまうケースも数多くあります。
\忙しすぎる情シスの落とし穴とは!?/
次にひとり情シス担当者の退職後に生じる問題点について4つ紹介します。
以下に詳しく解説します。
ひとり情シスの担当者が退職した場合、後任者への引継ぎが困難です。
ひとり情シスの担当者は、情報システム部門の多岐にわたる業務を1人で行うため、誰かと共有することを想定せず、また共有資料を残す余裕もない中で仕事を進めているケースがあります。
このようなケースでは、退職した担当者の意図やノウハウを、後任者に引き継ぐことが非常に困難になります。
情報システム部門は、社内の情報システムに日々発生する大小様々なトラブルに対応しています。
そのため、ひとり情シスの状態で担当者が退職してしまうと、トラブルへの対処ができなくなるおそれがあります。
最悪の場合、業務の停止や、個人情報の流出などが発生し、顧客からの信頼を失うことにも繋がりかねません。
ひとり情シスに陥るそもそもの原因のひとつに、人手不足があります。
そのため、ひとり情シスの担当者が退職した場合、後任にふさわしい人材をすぐに確保することは難しいでしょう。
求人を出したとしても、すぐに条件の合う人材が見つかる保証はありません。
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ひとり情シス退職問題への対策としては、以下の2通りのアプローチが考えられます。
以下に詳しく解説します。
まずは、ひとり情シス担当者の退職を防ぐ方法について3つ紹介します。
ひとり情シス担当者の退職を防ぐためには、過度な負担をなくしつつ、本当に重要な業務に注力できる環境を作ることが重要。有効な手段のひとつが、社内向けのマニュアルやFAQ(よくある質問集)の整備です。
マニュアルやFAQが充実することで、他部門の社員がシステムやパソコン操作にまつわる初歩的な疑問やトラブルを自己解決できるようになり、情報システム部門の負担を減らすことに繋がります。また、社内全体のITリテラシーを底上げする効果も期待できるでしょう。
ひとり情シス担当者の退職を防ぐためには、経営層や管理職が、情報システム部門についての理解を深め、正当に評価することも欠かせません。
特にITの知識がない経営者の場合、情報システム部門の業務を実態よりも軽く捉えてしまい、他の業務と兼任させたり、ひとりの担当者に過度な負荷をかけたりといった事態が発生しがちです。
ひとり情シス担当者の退職に悩んでいる経営者は、情報システム部門の業務がいかに重要で、なおかつ負荷のかかるものであるのかを、改めて認識する必要があるでしょう。
ICTツールを導入し業務を効率化することでも、ひとり情シス担当者の負担を減らし、退職の防止に繋がります。
また、ツールを導入しておくことで、万が一退職に至ってしまった場合も後任者への引継ぎをスムーズに行えます。
代表的なICTツールとしては以下のようなものがあります。チャット・コミュニケーションツールをはじめ、ナレッジを蓄積するためのツールや、ファイル共有をスムーズに行えるツール、進捗管理ツールなど自社の体制や事業に合ったツールを検討しましょう。
やむを得ず、ひとり情シスの担当者が退職してしまう場合は、以下に挙げるような対策を取ることができるでしょう。
会社がひとり情シスの状態に陥ったら、まずは普段から組織全体のITリテラシー向上に取り組みましょう。
ITリテラシーの高い組織であれば、もしもひとり情シスの担当者が退職してしまっても、引継ぎを円滑に行うことが可能です。
ナレッジベースとは、業務にまつわる知識を1箇所にまとめ、検索できるようにしたものです。
属人化しがちなひとり情シスの業務も、ナレッジベースを構築しておくことで、容易に情報共有できるようになります。仮に退職する場合も、後任への引継ぎを円滑に行えるでしょう。
ナレッジベースの作成には時間を費やしますが、知識が共有されないことによるリスクを考慮すると、取り組む価値のある施策であるといえます。
ひとり情シス担当者が退職してしまう場合の対策として、アウトソーシングの活用も有効です。
自社内だけで適切な人員・ノウハウを用意するのが難しいのであれば、情シス業務を外部に委託することも検討しましょう。
アウトソーシングを活用することで、ひとり情シス担当者や、退職する人の後任者の負担も大きく減らすことが可能です。
アウトソーシングを検討する際は、特に情報セキュリティをしっかり管理できるかをチェックすることが大切になります。
情報セキュリティにおける「プライバシーマーク」や「ISO27001」を取得済みの企業であれば、情報の取り扱いに関して安心して依頼ができるでしょう。
アウトソーシングで対応可能な業務は、たとえば以下のようなものです。
また、以下はアウトソーシング先の選定フローの一例です。
■参考記事
情シス業務はアウトソーシング可能?業務範囲や外注先の選び方を解説
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ひとり情シス担当者の退職は、企業のITインフラの根幹にかかわる問題。
ひとり情シス担当者の退職問題が深刻化することを防ぐためには、担当者が継続して取り組む場合も、退職して後任を選定する場合も、アウトソーシングなどを用いて、ひとり情シス担当者に過度の負担がかからないよう努めることが重要です。
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