VPNの導入にあたって「VPNはなぜ安全なのか」「セキュリティに問題はないのか」と心配をしている方もいるでしょう。
VPNは安全な拠点間通信を実現するために有効な手段ですが、すべての脅威を完全に防げるものではありません。
VPNの接続方式や、サービス提供者によってもセキュリティレベルが異なるため、安全性やリスクについてよく理解したうえで導入することが大切です。
この記事では、VPNのセキュリティに関するリスクと対策について詳しく解説しています。VPNを適切に活用し、安全な通信環境を構築しましょう。
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目次
VPNは、トンネルのような閉鎖空間でデータの送受信を行う「トンネリング」技術や暗号化を用いることで、マルウェア感染や情報漏えいのリスクを最小限に抑えています。
VPNを導入するとセキュリティレベルは高まりますが、すべての脅威に対して完全にセキュアな通信環境が実現できるわけではありません。
VPNの接続方式には「インターネットVPN」や「IP-VPN」などの種類があり、それぞれセキュリティレベルが異なります。
セキュリティレベルの低い接続方式を用いる場合、外部からの攻撃によって情報が流出するリスクや、設置するVPN機器の脆弱性を突かれ、第三者にデータを盗聴されるリスクも考慮しなければなりません。
総務省の「情報通信白書(令和3年版)」では、VPN機器の脆弱性を利用した不正アクセスの事例が紹介されており、セキュリティ被害による自社の信用低下を招かぬよう、適切な対策が必要であることが分かります。
VPNはセキュアな通信環境を実現するための手段ではありますが、100%の安全性は確保できないことも念頭に、十分なセキュリティ対策を実施することが大切です。
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VPNの接続時に起こりうるセキュリティリスクを理解することは、適切な対策を講じる上での重要なポイントです。
対策方法を知る前に、トラブルの原因となるリスクを想定しておきましょう。VPNの接続時に注意すべき4つのセキュリティリスクについて解説します。
VPN機器自体に欠陥や不具合があると、その脆弱性を突いてサイバー攻撃を受ける可能性があります。
例えば、不具合によってVPNに接続できるIDやパスワードなどの認証情報が盗まれれば、第三者が不正アクセスできるようになり、機密情報が外部に丸見えという事態になりかねません。
このような欠陥や不具合は、実際に攻撃を受けてから問題が表に出るケースもありますが、多くの場合でVPN機器、またはソフトウェアのアップデートによって解消することが可能です。常に最新の状態にアップデートするように心がけましょう。
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VPNに接続しているパソコンやスマホがマルウェアに感染すると、それを起点に社内ネットワーク全体に感染が拡大してしまうおそれがあります。
VPNを使用せずにインターネットを利用すると、たとえ一回であっても、マルウェアに感染する可能性が高まります。
代表的な感染経路には、安全性の低いWebサイトの閲覧やファイル共有ソフトの利用などがあります。また、2019〜20年頃に猛威を振るったマルウェア「Emotet」は、メールの添付ファイルを開くだけでウイルスに感染するというものでした。
一度マルウェアに感染すると、VPNを利用しても被害の拡大を止めることは難しく、対応に追われるなどして業務が停滞してしまう恐れがあります。
VPNにはいくつかの接続方式がありますが、そのうち「インターネットVPN」は、比較的低コストでVPN環境を構築することが可能です。ただしインターネットVPNは、オープンネットワーク方式を採用しているため、第三者による不正アクセスを許してしまうリスクが残ります。
また、テレワーク時にフリーWi-Fiを利用する際にも注意が必要です。暗号化されない通信を提供するWi-Fiスポットや、悪意のあるアクセスポイントを利用したために、VPN接続の認証情報を窃取され、情報が漏えいしてしまうケースもあります。
外出先でも無料でインターネットを利用できるフリーWi-Fiは便利ですが、同時にセキュリティリスクがあることも念頭に置いておきましょう。
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一般的なVPNサービスは、ベンダー側のサーバーを経由して利用しますが、ベンダーのセキュリティ対策が不十分、または脆弱性がある場合、通信ログが流出する可能性があります。通信ログには、下記のような重要な通信情報が記録されています。
通信ログは、正しいセキュリティ機能で守られていれば、外部から傍受することはできません。しかし、VPNのサービス提供者であれば通信ログが閲覧できるので、ベンダー側に悪意がある場合、利用者の通信ログを故意に流出させるリスクも考えられます。
信頼できるサービス提供者を選ぶことも、重要なセキュリティ対策といえるでしょう。
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\VPNの詳しい選び方をチェック!/
VPN接続時に考えられるさまざまなリスクを回避するため、VPN機器や使用端末などにセキュリティ対策を施す必要があります。
以下のようなセキュリティ対策をして、マルウェア感染や不正アクセスから社内ネットワークを守りましょう。
VPNルータに二要素認証を取り入れることは、VPN機器の脆弱性を狙ったサイバー攻撃に備える手段の一つとして有効です。
VPN ルータの使用にはIDのほかパスワードが必要ですが、二要素認証ではさらに「PIN」や「生体認証」などを組み合わせ、より強固な認証でVPNに接続します。
下記、三つの要素から異なる二つの認証を用いることを「二要素認証」といい、「二段階認証」「多要素認証」とも呼ばれます。
なかでも生体認証に対応したVPNルータであれば、IDやパスワードを不正に取得されても、不正アクセスのリスクを軽減することができます。
VPNでセキュリティ対策をしていても、社員の利用する端末がマルウェアに感染してしまえば、社内ネットワーク全体に被害が拡大する恐れがあります。
トラブルを防ぐためには、利用者(従業員)側の情報セキュリティに対する意識の向上が必要不可欠です。
「テレワーク時にインターネットへ接続する際は、必ずVPNを経由する」といったルールを設けるほか、情報漏えいした場合のリスクや企業が被る損害などについて啓蒙活動を行い、従業員のセキュリティ意識を高めましょう。
情報セキュリティに対するリスクマネジメントは、顧客情報を扱う企業の重大な責務であると捉え社員に周知することで、VPN未使用端末からのマルウェア感染というリスクを軽減することができます。
安全な通信で社内ネットワークを守るためには、VPN機器だけではなく、VPNと接続する端末のセキュリティ対策も必要です。
テレワークで従業員のパソコンや社用スマートフォンを利用する際は、事前にセキュリティソフトを実装すると良いでしょう。ヒューマンエラーなどによりVPNを介さずにインターネットを使用してしまうとマルウェア感染のリスクが高くなりますが、セキュリティソフトを導入していればマルウェアが端末に入り込むことを防ぐことができます。
ただしマルウェア側も日々進化しているため、セキュリティソフトの定期的なアップデートは欠かせません。
法人向けのセキュリティソフトは、端末への導入や設定が一括で行え、セキュリティレベルも統一できるので、管理・運用の負担が軽減されることもメリットです。
VPNサービスは、ベンダー側のセキュリティ対策やサービスのセキュリティレベルが、サービス提供者によって大きく異なります。
コストを抑えるため、安易に無料のVPNアプリや質の悪いサービスを導入してしまうと、安全性が低く、セキュリティ事故が発生する可能性もあります。
VPNを導入しても、それによってリスクが高まってしまっては意味がありません。ベンダーやサービスを徹底的に比較したり、事前に評判や口コミを確認したりして信頼性を見極めましょう。
VPNの導入にあたっては、VPNサービスの接続方式によるセキュリティレベルにも注意が必要です。VPN接続には4つの種類があり、それぞれ下記の特徴があります。
インターネットVPN | 低コストで導入できる |
---|---|
エントリーVPN | 低コストで導入できる |
IP-VPN | 高セキュリティ |
広域イーサネット | 高セキュリティ |
セキュリティリスクを最小化するためには「IP-VPN」「広域イーサネット」の利用がおすすめですが、サービスが高額になることも多いため、VPNの活用範囲や予算に応じて選び分けましょう。
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VPN接続の種類は4つ!それぞれの違いを詳しく解説
一般的に、VPN機器の運用・保守はベンダー側に一任でき、自社で管理する手間や負担が軽減することが可能です。
ただし、サポート内容や対応時間はベンダーによって異なるため、導入する前に複数のベンダーを比較し、自社に適しているか十分に検討してください。
また、VPNサービスを適切に活用するため、以下のような社内体制に関する運用管理は自社で行いましょう。
信頼できるベンダーによる運用・保守のほか、適切な自社での運用管理により、安全な通信環境が構築できます。
安全な拠点間通信を実現するためにVPNの導入は有効ですが、VPNの導入だけですべての脅威が排除できるわけではありません。導入によるセキュリティリスクや対策を理解し、自社に合った導入形態を検討しましょう。
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