コロナ禍の影響で普通の働き方になったテレワーク。
自前のWi-Fiで仕事をする環境は思いのほか便利で快適だったと感じる人も多いようです。
しかし、自前Wi-Fiにはさまざまな危険が潜んでいます。利便性とセキュリティリスクはトレードオフ。
一時しのぎのテレワークではなく、これからも続ける働き方にするために、どのようなことに注意したらいいのでしょうか。
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IPAの「ニューノーマルにおけるテレワークとITサプライチェーンのセキュリティ実態調査」によると、2020年10月時点で約6割の企業がテレワークを実施しています。また、テレワーク導入企業に勤務している従業員のうち5割以上が週3回以上のテレワークを実施しています。コロナ禍が長期化する中で新しい生活様式が定着し、テレワークがもはや当たり前の働き方になったことを物語っています。
「コロナ禍」が長期化しているのに加えて、将来にわたってワークライフバランスを保つために、テレワークを働き方のひとつとして捉える企業が増えています。製造業は、物理的な商材を製造するため、テレワークに対応しづらいと言われてきましたが、トヨタ社やリコー社のように恒久化に踏み切る企業も存在します。
トヨタ社ではテレワークの対象範囲を広げ、工場で働く技能職の社員にも適用することを検討しています。自動車産業は巨大なサプライチェーを形成しているため、最大手のトヨタ社がテレワーク導入を加速させることで、関連する数多くの企業にも広がっていく可能性があります。
テレワーク導入の際に、回線が自宅にない社員がいることが判明した、という話はよく聞かれます。 ONE JAPANのアンケート調査によると、テレワークをしていない人の約8割は「Wi-FiやPC環境が整っていないため」と回答しました。
総務省の「平成30年通信利用動向調査」によると、個人がインターネットを利用する回線は「携帯電話回線」と回答した人が約5割にのぼります。オフィスで仕事をしている場合は困りませんが、テレワークをするとなると事情が違ってきます。
スマートフォンのデザリング機能でテレワークをできないこともありませんが、やりとりするデータ量が多いため、すぐに上限に達してしまいます。特にWeb会議を多用する場合は、画像と音声を取り扱うためデータ量が大幅に増加します。
個人宅に回線を導入しようとしても固定回線は工事が必要となってしまうため、すぐにインターネットに接続して仕事を始めることができません。そのため社員が携帯電話回線しか持っていない場合は、モバイルWi-Fiを会社から貸与するといった対応をするケースもあります。
モバイルWi-Fiは持ち運べるため、自宅だけでなく近所のカフェや移動中にも仕事ができます。さらにはリゾート地で開放感を味わいながら仕事をする「ワーケーション」も可能になります。場所を選ばない働き方は、QOL(Quality of Life:生活の質)向上をもたらします。
通勤地獄から解放され、家族と過ごす時間が増え、子どもの迎えなど仕事の“中抜け”も柔軟にできます。ワークポート社の調査によると、約80%の人が「新型コロナウイルスにより自身の価値観に変化があった」と回答し、そのうちの約80%が「好影響」と回答しています。
さらに、「体が健康になった」「近所の人と交流するようになった」という回答もありました。
このようにモバイルWi-Fiはとても便利ですが、第三者から接続されてしまう危険性が高くなる面も忘れてはいけません。モバイルWi-Fiを外部から接続され、サイバー攻撃に悪用された場合、犯罪に巻き込まれてしまうこともあります。
最近は「EMOTET(エモテット)」というマルウェアが猛威を振るっています。新型の亜種は、近隣のWi-Fiネットワークに対してパスワードを類推し、侵入を試みる機能があります。侵入に成功すると、ネットワークに接続されている端末のログイン情報を類推し、その端末を乗っ取ります。こうして近隣のWi-Fiネットワークを広範囲に攻撃し続けるのが特徴です。感染した端末はその犯罪の片棒を担がされる形になり、問題が大きくなってしまいます。
モバイルWi-Fiを悪用されないためには、パスワードを複雑な文字列に設定し、類推されることのないようにしておきましょう。これは自宅の固定回線を無線ルータに接続して使用する場合も同様です。
企業側としては、社員が外部からインターネット経由で接続すると、社員の数だけセキュリティリスクが増えるという問題があります。社員がインターネットに接続する場合でも、VPNで社内ネットワークに接続してからインターネットに接続するような仕組みにして、インターネットに端末を無防備な形でさらすことのないようにしましょう。
また、社員が一斉にVPN接続すると、VPN機器の接続数をオーバーして接続できなかったり、速度が遅くなったりする場合もあるので注意が必要です。
\テレワークのセキュリティ、問題ないかチェック!/
東京都では2021年1月後半のテレワーク導入率が63.5%となったことを発表しました。前回の緊急事態宣言後の2020年4月調査の62.7%をも上回り、過去最高の導入率です。東京都は2回目の緊急事態宣言下で人の流れを抑えるためにテレワークの推進を改めて求めました。
さらに、テレワークを推進する企業を認定する制度「テレワーク東京ルール実践企業宣言」も始まっています。認定企業は都の低利融資制度を利用できるほか、都が開催するテレワークで働きたい人とのマッチングイベントに参加できます。
東京財団政策研究所の千葉安佐子博士研究員が2021年3月に発表したシナリオを見ると、企業が緊急事態宣言解除後、長距離移動制限や営業時間短縮、テレワークを全て解除した場合、全国の新規陽性者数が一日で約6,000人になるというシミュレーション分析を発表しました。一方で、テレワークと営業時間短縮を維持した場合には、解除後横ばいから減少傾向になるとの見解も示しています。
このようにテレワークは緊急事態宣言中だけではなく、宣言解除後の感染症拡大を防ぐためや感染リスクを減らすことに役立つことが言えます。
場所を選ばずに作業ができるのは働く人にとってとても便利です。その一方で外部から接続する機会が増えることになり、セキュリティリスクが増えています。利便性とセキュリティリスクはトレードオフであることを理解し、安全に利用できる環境を用意する必要があります。
また社内システムに外部から接続するために、パフォーマンスが不安定となり、ストレスを感じるケースもあります。テレワークの利便性を保ちながらも、安全で快適な接続環境を作るような環境を構築しなければなりません。
「自前のWi-FiやモバイルWi-Fiだけで大丈夫かどうか」「とりあえずテレワークをできる環境にしてみたが、セキュリティを突破されるのでは」「テレワークを導入する予定だが、今のシステム構成を変更しなければならないのか」「予算はどのくらい必要」などお客様の課題は様々。
日本通信ネットワークでは、企業ごとに、企画立案から構築・運用までワンストップで、ICTソリューションサービスを提供しています。
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