
LCM 2025.10.17
2025.10.17
LCM
企業では、新たにPCを導入する際にキッティング作業が必要になりますが、台数や設定によっては時間と手間がかかるため、大きな負担になることもあります。
また、設定の不備や属人化といった課題も存在し、適切に対応しなければ重大なトラブルにつながりかねません。
そこで今回は、社内でキッティングを行う方法と直面しやすい課題について解説します。
効率的にキッティングを進めるためのポイントもまとめているため、あわせてご覧ください。
企業における端末の新規導入や更新の場面では、PCを業務で使えるように整えるキッティング作業が欠かせません。
社内でキッティングを行う場合の、主な方法は以下のとおりです。
それぞれの方法のメリット・デメリットを把握したうえで、自社に適したものを選びましょう。
参考記事:キッティングとは?作業内容や手法、効率化する方法を解説
手作業(個別キッティング)はPCの設定をすべて手作業で行う方法です。
管理者が1台ずつセットアップやアプリケーションのインストールを行います。
小規模な組織で PCの数が少ない場合や、構成・設定のカスタマイズが複数種類ある場合に推奨される方法です。
個別キッティングのメリットは、新しいPCが届いてすぐに作業を始められる点です。
専用ツールを必要としないため、設定コストを抑えやすいのも利点です。
さらに、業務に必要なソフトウェアの選定や環境設定が自由にでき、社内で完結するため作業後すぐに利用を開始できます。
キッティングには時間や手間がかかるため、PCの台数が増えれば、それだけ多くのリソースが必要になります。
その結果、人件費の負担が大きくなる可能性があります。
また、設定の誤りや作業の見落としが発生しやすく、PCの品質にばらつきが出るリスクにも注意が必要です。
このほか、テレワーク環境ではキッティングしたPCを宅配便で送るケースが多いですが、その際、精密機械であるPCは保険料が高額になりがちのため、企業にとって大きな負担になります。
個人情報のリスクも伴うため、慎重な取り扱いが求められます。
クローニング(マスターイメージ展開)は、事前に必要なソフトウェアや設定を適用した「マスターPC」のイメージを作成し、その内容を複数のPCに複製(クローニング)する方法です。
PCの種類や構成・設定の変更が少ないケースのほか、年度の変わり目のように決まったタイミングで大量のPCを展開する場合に効率的です。
作業時間を短縮でき、設定のバラつきも防ぎやすいため、一定の規模以上の企業に向いています。
クローニングでは、USBメモリやネットワークを経由して大量のPCを一度にキッティングできます。
そのため、対象のPCが多い場合でも効率的な実施が可能です。
また、品質を均一に保てる点もメリットです。
クローニングに必要なマスターPCの作成には、一定の時間や技術・知識が必要です。
場合によっては1ヶ月ほどかかることもあります。
PCの種類ごとにマスターイメージの作成が必要となるため、種類が多い場合は手作業も発生しがちです。
また、クローニングを行う際には、不正コピーとみなされないように注意しなければなりません。
たとえば、Windows OSの場合は、ソフトウェア製品のボリュームライセンスと「再イメージング権」が必要になります。
マスターレスは、PCの設定内容をあらかじめシナリオ化し、RPAやスクリプトなどを用いて設定手順を自動化して展開していく方法です。
管理者が定義した設定に基づき、端末が自動的に標準化された環境を構築します。
PCの種類や構成・設定の種類が多いケースや、自動化はしたいもののWindows Autopilotの導入ハードルが高いと感じる場合などに推奨されます。
マスターレスのメリットは、手作業を最小限に抑えることで効率的にキッティングできることです。
クローニングと比較してもタイムラグを大幅に低減できるほか、マスターイメージの管理が不要で、ハードウェアやOSの更新にも柔軟に対応できます。
マスターレスは事前にスクリプトを作成し、シナリオ化することが求められるため、専門的な技術や知識が必要です。
また、構築はネットワークに依存するため、インターネットや社内サーバーに接続できない環境では導入が難しいことがあります。
ゼロタッチキッティングは、メーカーやベンダーからキッティング済みの端末が届き、初回起動時にクラウド管理サービスと連携して自動構築する方法です。
デバイスが初めてインターネットに接続された際に、企業ポリシーに基づいた設定やアプリケーションのインストールが自動で行われます。
人手を介さずに設定やカスタマイズができるため、テレワークが多い、クラウド活用が進んでいる、PCの初期セットアップや故障対応の手間をゼロにしたいといった企業に向いています。
ゼロタッチキッティングのメリットは、PCを起動するだけで必要な設定が完了するため、現地でのサポート対応や利用者への引き渡しなどの手間が省ける点です。
これにより、担当者の作業時間が大幅に削減され、その時間を本来のコア業務に充てることが可能になります。
また、自動化によって設定の一貫性が保たれるため、品質のばらつきも防げます。
ゼロタッチキッティングは、すべてをクラウド基盤に依存するため、インストールできないアプリケーションがあったり、ネットワークが不安定で展開に失敗したりする可能性があります。
また、下表のように、クラウド利用料やライセンスコストが発生するため、導入規模によってはコスト負担が増す点もデメリットです。
Windows Autopilotを利用する場合 | MacBookの場合 |
Microsoft 365のライセンス Microsoft Entra ID(旧Azure AD)でのユーザーアカウント管理 Microsoft Intuneでのデバイス管理 | ABMへの登録 MDMの契約 ADE(Automated Device Enrollment)の対象となる端末の購入 |
社内でキッティング作業を行う場合、以下の課題が生じる可能性があります。
一つずつ見ていきましょう。
PCのキッティング作業は、アプリケーションのインストールや各種設定など、多岐にわたります。
どこかでミスが発生すると業務に支障が生じ、手戻りになりかねません。
そこで重要なのが、手順書の作成です。
キッティングにおける手順書は、作業漏れや品質のばらつきを防ぐ役割を持ちます。
ただし、手順書は一度作成して終わりではなく、定期的に内容を最新の状態に更新する必要があります。
手順書の情報が古いと、ミスにつながる可能性もあるため注意が必要です。
キッティング作業の担当者には、作業の理解、知識の収集、マニュアル化、作業の実施・指導など広範な対応と専門知識が求められます。
そのため属人化しやすく、手順を把握している担当者が不在になると、作業が滞るリスクがあります。
企業によっては専任者が1名しかいないケースもあり、急な退職などで十分な引き継ぎがなされなければ、トラブルが生じかねません。
社内でキッティングを行う場合は、企業のセキュリティポリシーを正しく反映するとともに、ライセンス規約の遵守が不可欠です。
例えば、クローニングを用いる際には、ソフトウェア製品のボリュームライセンスやOSに付随する「再イメージング権」が必要です。
これらがなければ不正コピーと見なされる恐れがあります。
アプリケーションについても、ライセンス条件を個別に確認し、適切に対応しなければなりません。
PCは、ホスト名やシリアル番号などのインベントリ情報を正確に収集し、IT資産管理台帳に登録することが求められます。
このとき、デバイスごとに適用しているソフトウェアや設定などの記録漏れがあると、IT資産管理が適切に行えません。
キッティング作業は、適切な方法で進めなければ時間や工数が大きくなり、IT部門への負担が増大します。
とくに自社で対応する場合、設定に不備があると作業が非効率になるほか、トラブルやコンプライアンスリスクを招く恐れもあります。
作業を効率的に進められるよう、具体的な対策、注意点について確認しておきましょう。
キッティング作業は手順が多く、小さなミスが大きな手戻りや業務の遅延につながることがあります。
また、属人化しやすいため、作業を標準化できるよう、工程やチェック項目を網羅した手順書が必要です。
手順書を作成する際は、誰が読んでも理解できるよう、写真や図を積極的に用いましょう。また、実際の作業で有効性を検証しておくことも大切です。
手順書の内容は、環境やソフトウェアの更新に応じて定期的に見直し、常に最新の状態を維持します。
作業を特定の担当者にのみ依存していると、その担当者の不在によって作業が止まってしまうリスクがあります。
複数人が担当できる体制を整え、属人化を防ぐことが重要です。
それぞれの役割や責任範囲を明確にし、作業効率と品質の安定化を図りましょう。
継続的に対応できるよう、当番制や引き継ぎを仕組み化する必要があります。
キッティング段階でのセキュリティ設定の不備は、情報漏洩や不正アクセスなどのリスクを高めます。
初期設定の時点でウイルス対策ソフトや暗号化を導入し、必ず社内ポリシーに沿った設定を行いましょう。
また、OSやアプリケーションのライセンス違反は、法的リスクの増加、利用の制限につながるため、入念な確認が必要です。
ライセンスやポリシーを遵守することでセキュリティリスクを軽減し、長期的な運用の安定性が確保できます。
IT資産であるPCは、それぞれの情報を正確に把握しておかないと、管理漏れやトラブルの原因となります。
ホスト名やシリアル番号などのインベントリ情報は、抜け漏れなく正確に台帳に登録しなければなりません。
台数が多くなればそれだけ工数もかかりますが、専用ツールを用いれば資産情報を一元管理でき、手作業の負担軽減が可能です。
また、アプリケーションの設定やセキュリティ確認はチェックツールを活用して自動化し、高い品質で統一させましょう。
新入社員の一斉入社やPCの入れ替えなど、大量に導入する場面では、社内対応が困難になりがちです。
キッティングを外部の専門業者に依頼すれば、大量のPCに対しても高い作業効率と品質を両立することが可能です。
その結果、社内リソースをコア業務に集中させることができ、IT部門の負担を軽減できます。
内製と外部委託を組み合わせれば、状況に応じて柔軟な対応がしやすくなります。
新入社員の入社や従業員の異動、PCの入れ替えなどでは、その都度キッティング作業が必要です。
しかし、キッティングをすべて社内で行う場合、PCの台数によってはIT部門の大きな負担になります。
また、手作業の設定や管理では、ミスによる不備、情報漏れなどが起こりやすく、トラブルにつながることも少なくありません。
IT資産であるPCを適切に管理するためには、自社のリソースだけでなく、外部委託を検討することも重要です。
FLESPEEQ LCMは、IT資産の調達、導入、運用、廃棄をワンストップで提供するため、お客様の管理負担を大きく軽減します。
工数のかかるキッティング作業や、情報漏洩リスクのある使用済みPCの処分など、ご要望に応じて柔軟な対応が可能です。
ヘルプデスク、手順書の作成もお任せいただけるため、ノンコア業務をまとめてアウトソースできます。
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