キッティングは、工場出荷状態のデバイスを、従業員が使える状態に設定する重要な業務ですが、作業の内容が多岐にわたるため、多くの時間を必要とします。
導入したIT機器にキッティングを実施することで生産性の向上が期待できる一方、担当者の負担が増加する点が課題になりがちです。
この記事では、キッティングの概要とともに、作業内容やその手法について解説しています。手間のかかるキッティング作業を効率化する方法もまとめているので、あわせてご覧ください。
目次
キッティングは、IT機器を導入するうえで欠かせない作業です。
キッティングを行えば、すぐに使用できる状態のPCやタブレット端末を従業員に貸与できるため、生産性の向上が見込めます。また、効率的なIT資産の管理にも効果的です。
キッティングの作業内容にはさまざまな工程が含まれているため、セットアップとの違いや重要性を理解し、適切に実施する必要があるでしょう。
キッティングとは、PCをはじめとしたデジタル端末を導入するときに実施する、セットアップなどの作業工程を指します。
たとえば、新人の入社やPCの故障に伴う入れ替え、リプレイスなどの際に、新たなデバイスを社内で使用できるよう次のような設定を行います。
一度のキッティングには数時間程度かかることもめずらしくありません。同時に複数台行うことが可能で、時には数百台のPCに対して一斉に実施することもあります。
企業をはじめとした多くの組織にとって、デジタルデバイスは欠かせないものです。
そのため、デバイスの導入、管理をスムーズかつ効果的に行うことは、組織の生産性を高めるうえで重要な要素になるでしょう。
キッティングによってデバイス管理を適切に実行し、IT機器の各種設定や必要なソフトウェアのインストールがスムーズに行われれば、情シスの負担軽減、効率性の向上、セキュリティ強化など、組織にとって多くのメリットを生み出します。
これにより、IT担当者がコア業務に集中できる環境が構築され、組織全体の競争力や生産性の向上につながっていくでしょう。
キッティングと混同されやすい作業として、セットアップが挙げられます。
セットアップとは、購入後のパソコンを起動した際に実施する初期設定のことです。
一方、キッティング作業では、セットアップに加えて、業務に必要なアプリやプログラムのインストール、調整なども行い即座に業務が開始できる状態を作り出します。
つまり、セットアップは、キッティングに含まれる多くの作業のうちの一つであるといえます。
キッティングには、さまざまな工程が含まれます。
具体的には次のとおりです。
キッティングの手法には、「手作業」と「クローニング」2つの方法があります。
対象のデバイスが少ない場合には手作業のほうが効率的に進められますが、人的ミスが起こりやすいといった難点があります。
一方のクローニングは大量の機器へのキッティングに適していますが、場合によっては多くの時間が必要になることもあるでしょう。
それぞれの手法について解説していきます。
手作業でキッティングを行う場合、デバイスの開梱からセットアップ、必要なアプリのインストールなど、順番に作業を行っていきます。
最後に、使える状態になったIT機器に管理番号を付与し、管理台帳に1台ずつ登録する工程までを手動で実施します。
事前準備の必要がなく、対象のデバイスが手元にあればすぐ作業に取りかかれるほか、台数が少なければ短期間でキッティングを完了させられるのがメリットです。
ただし、担当者が1台ずつ手作業で行っていくため、ヒューマンエラーや、品質にムラが発生する可能性があります。
また、作業に時間がかかる場合には残業代が発生するなど、人件費がかさむ点にも留意しましょう。
クローニングは、コピー元となるIT機器(マスター)を用意し、その中身を複数台のIT機器にコピーする方法です。
クローニングでキッティングを行う場合、機種ごとにマスターを1台選んでキッティングを行い、その後各デバイスにマスターの情報を複製し、それぞれ必要な設定を行います。
大量のIT機器を一度にキッティングできるので、作業効率の高さと品質の均一化を両立できるのが利点です。
また、IT機器が故障した際に、マスターを使って代替機を迅速に用意できる、といった利便性もあります。
ただし、マスターの作成から検証作業まで実施するにはある程度の時間が必要になるため、キッティング作業を完了させる期間は余裕をもって設定しなければなりません。
さらに、クローニングの作業者には一定の知識や技術力、経験が必要になるほか、キッティング対象の機種が多い場合には、手動で行うより時間がかかることも念頭に置いておきましょう。
キッティング作業は多くの時間を必要とするため、できるだけ効率化することが大切です。効率化のための方法としては、以下のようなものがあげられます。
それぞれ見ていきましょう。
キッティング工程の一つひとつは単純な作業ですが、その項目は多岐にわたるため、設定漏れや未確認の項目がないか注意する必要があります。
特にクローニングの場合、マスターイメージに設定の不備があれば、コピーしたすべてのデバイスが使えなくなってしまうためミスが許されません。
ミスを防ぐためには、作業手順書を作成して検証を行う、作業時にはチェックシートや資産管理台帳に忘れず記入するといった事前準備が大切です。
たとえ小さな設定ミスでも、アプリが使えない、ネットワークが切断されるなど、トラブルの原因になる可能性があるので、準備は入念に行いましょう。
これらのミスが減れば手戻りのロスも軽減され、キッティング作業が効率的に実施できます。
キッティング作業では、チェックするべき項目が多岐にわたるため、台数が多くなればその分時間もかかります。
一つの設定ミスが大きな問題に発展することもあるので、余裕を持ったスケジュールを組み、不測の事態に対応できるようにしておくことが大切です。
キッティングは新人の入社や、デバイスの入れ替えに伴って行われる作業で、必ず期限が設定されます。
締め切りに余裕があることで、トラブルが起こった際にどのように対応すればよいのか入念に検討できるため、結果的に作業の効率化につながるでしょう。
ツールを用いてキッティング作業を自動化することで、作業効率の大幅な向上が期待できます。
これらのツールには、一般的にデバイスの設定やソフトウェアのインストール、アップデートなどを自動的に行う機能が搭載されています。
自動化ツールを活用すれば手作業の負担を大きく軽減でき、効率化を図ることが可能になるでしょう。
とくに大量のデバイスや、複数の機種を導入する場合は、一部の作業を自動化するだけでも効果があります。
参考記事:キッティングを自動化するには?方法や役立つツールを紹介
自動化ツールのほか、キッティングに強みを持つ企業にアウトソーシングするのも有効な手段の一つです。
アウトソーシングを活用すれば、どれだけ台数が多くてもクローニングやキッティングに関わる作業をすべて任せられます。空いたリソースはメイン業務にあてられるため、業務の効率化も可能です。
自社でキッティングを行った場合、情シス部門は保守や管理、ヘルプデスクの役割も担わなければならないため、負担が増加します。
アウトソーシングすれば担当者の負担が軽減されるほか、リソースのない企業でも安心してキッティングを実施できるでしょう。
キッティングは、新たに導入したIT機器を正しく設定するために欠かせない作業ですが、項目が多岐にわたるため、完了までに時間がかかってしまうのが難点です。
「FLESPEEQ LCM」なら、キッティング作業だけでなく、機器の調達から適正処理までまとめてアウトソースできるので、自社のリソースを気にせずスムーズにIT機器の導入や入れ替えが実施できます。
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