閉域網とは?メリット・デメリットや適切な選び方を解説!

2025.08.12

ネットワーク構築

閉域網とは?メリット・デメリットや適切な選び方を解説!

昨今、サイバー攻撃や従業員による個人情報の漏洩など、深刻なセキュリティ被害が急増しています。

その中で注目されているのが、プライベートなネットワークである閉域網の活用です。

しかし、閉域網にはいくつかの種類があるため、自社の目的や用途に合わせた使い分けが必要です。

そこで今回は、閉域網の基本から種類、選び方のポイントまでを詳しく解説していきます。

閉域網とは

閉域網(へいいきもう)とは、限られたユーザーまたは特定の拠点からのみアクセスできるプライベートネットワークのことです。

クローズド・ネットワークとも呼ばれ、重要データの漏洩防止など、情報セキュリティ対策の一環として使用されています。

秘匿性が高い閉域網の回線サービスは利用料が高額になるため、一般ユーザーが利用することはほぼありません。

基本的には法人向けのサービスとして提供されており、以下のような状況で活用されています。

  • 中規模から大規模拠点のネットワーク
  • セキュリティが重視されるネットワーク利用
  • 通信品質が求められるネットワーク

インターネットの影響を受けないため、第三者による盗聴リスクや、通信の不安定さが少ないのが特徴です。

閉域網とインターネット接続との違い

一般的なインターネット接続は、不特定多数のユーザーが利用できるオープンなネットワークです。

そのため、セキュリティリスクが高く、なんの対策もしなければ情報漏洩やウイルス感染といったインシデントが発生しやすい環境です。

一方の閉域網は、特定の拠点や利用者のみに限定されたネットワークで、インターネットとは物理的もしくは論理的に分離されています。

これによって、外部からの不正アクセスを受けにくい構造になり、高いセキュリティレベルを実現できます。

閉域網の必要性

近年、企業を狙ったサイバー攻撃や情報漏洩のリスクが急速に高まっています。

とくに次のようなリスクに対しては、業界、会社の規模に関わらず、速やかなセキュリティ対策が必要不可欠です。

  • マルウェア感染やDDoS攻撃など、外部からの脅威
  • 退職者アカウントの管理ミス、従業員の誤送信などによる内部からの情報流出

こうしたリスクの多くは、インターネット接続を前提としたネットワーク環境に影響されており、重大な事故に発展するケースも少なくありません。

オープンなネットワークは利便性が高い反面、あらゆる脅威への接点になり得ることから、安全性の高い閉域網が注目されています。

ユーザーを限定したネットワークを構築すれば、外部からの侵入経路を遮断し、内部統制の強化も可能です。

情報セキュリティの根本的な対策として、閉域網の導入が求められます。

閉域網の種類

種類セキュリティ通信品質導入・運用コスト拠点追加・変更
専用線高い時間・費用がかかる
広域イーサネットやや高め比較的柔軟
IP-VPN中程度柔軟に対応可能

閉域網は、専用線、広域イーサネット、IP-VPNに分けられます。

上表のように、それぞれセキュリティレベルや導入コストに差があるため、自社の要件に合わせて選択することが大切です。

利用する拠点の数や業務内容など、幅広い視点で比較し、適切なネットワークを取り入れましょう。ここでは、各閉域網の特徴を解説していきます。

専用線

専用線は、特定の企業、組織だけが利用できる物理的な専用回線です。

通信事業者によって拠点間に敷設されます。

インターネットとは完全に切り離されているため、セキュリティと通信品質の両面において信頼性が高い方式です。

閉域網のなかでも秘匿性はトップレベルなので、金融機関や行政機関のように、重要インフラを扱う企業などに向いています。

ただし、導入と維持にかかるコストは高額で、大規模な工事も必要になることから、利用開始までの期間も長くなりがちです。

 

参考記事:専用回線とは?定義や仕組み、VPNとの違いを解説

広域イーサネット

広域イーサネットは、イーサネット技術を活用し、通信事業者の設備を経由して拠点間にネットワークを構築するサービスです。

事業者が回線の帯域を確保してくれるので、離れた拠点でもLAN接続のような感覚で利用でき、高速かつ安定した通信速度を実現できるのが特徴です。

専用線のような物理的な構成が不要な分、柔軟なネットワーク設計が可能なので、知識と技術があれば自由なカスタマイズができます。

ただし、提供エリアや対応機器によっては導入できないケースもあるため、事前に確認しておく必要があります。

IP-VPN

IP-VPN(Internet Protocol Virtual Private Network)は、通信事業者の閉域IP網を利用して、仮想的に拠点間を接続するVPNサービスです。

名称にIPとありますが、インターネットを経由せずに通信を行うため、ネットワークのセキュリティレベルを向上させることができます。

専用線よりも導入コストが低く、拠点の追加や変更にも柔軟に対応できる点が、最大の魅力です。

こうした特徴から、複数の拠点がある中規模〜大規模事業者に適している方式といえます。

 

閉域網のメリット

自社のネットワーク構築に閉域網を活用する主なメリットは以下のとおりです。

  • 堅牢なセキュリティを実現できる
  • 安定通信により業務効率を向上できる
  • 複数の拠点を安全・確実に接続できる

各メリットについて、詳しく見ていきましょう。

堅牢なセキュリティを実現できる

閉域網は、インターネットを経由しない閉じたネットワークであるため、外部からの不正アクセスを受けにくく、情報の改ざんや流出リスクの軽減が可能です。

脅威を100%防ぐことは困難ですが、ファイアウォールやウイルス対策などを組み合わせ、多層的にカバーすることで、より安全性を高められます。

また、閉域網は、個人情報や機密情報を多く扱う金融機関、医療機関、自治体などで活用されているように、組織の信頼性を維持するうえで効果的な選択肢です。

インターネットの利用が前提になっている現代のビジネスシーンにおいて、セキュリティと秘匿性の高さは企業の信頼に直結します。

安定通信により業務効率を向上できる

閉域網では、回線の帯域が契約者ごとに確保されているため、トラフィックの影響を受けにくく、通信速度や応答性が安定しています。

そのため、遅延の少ない通信が求められる音声通話やビデオ会議、クラウドアプリケーションの利用に適しているのが利点です。

ネットワークが途切れたり、スピードが遅かったりすれば、業務もスムーズに進められません。

通信の不安定さは顧客対応の質も下げてしまうため、安定した通信を実現できる閉域網は、業務に必要不可欠です。

複数の拠点を安全・確実に接続できる

拠点間通信を閉域網で構築すれば、想定外のルート変動がなく、計画通りの経路で安全かつ確実な接続が行えます。

また、万が一災害や障害が発生しても、通信キャリア側で復旧体制が整っているので、事業継続の観点でも安心です。

このほか、拠点数が多い企業にとっては、一元的にネットワーク構成を管理できる点も運用面での大きなメリットになります。

一元管理によって管理負担の軽減とセキュリティ水準の均一化が図れ、業務効率、情報資産の保護レベルが全体的に向上します。

閉域網のデメリット

閉域網にはさまざまなメリットがありますが、以下のようなデメリットもあります。

  • 導入・運用コストが高い
  • 設計から運用まで一定の手間がかかる

これらのデメリットを把握したうえで適切なサービスを選び、安定したネットワーク環境を実現しましょう。

導入・運用コストが高い

閉域網は、専用のインフラや通信サービスを利用するため、一般的なインターネット接続型のネットワークと比べて初期費用、月額費用が高くなりがちです。

セキュリティや通信品質の高さと引き換えに、コスト面での負担が発生する点は、検討すべき材料のひとつです。

とくに、小規模事業者や短期利用を前提とした導入には、慎重な判断が求められます。

サービス提供者や内容によっても費用が異なるため、さまざまな事業者を比較するとよいでしょう。

設計から運用までに一定の手間がかかる

閉域網は、拠点ごとのネットワーク設計やクラウドサービスとの連携構成に工夫が求められ、初期構築の時点である程度の手間が発生します。

また、導入後の運用においても、ネットワークの監視や障害対応、セキュリティの維持に専門知識と人的リソースが必要になる点にも注意が必要です。

導入の前に、あらかじめ設計・運用体制を確保しておかなければ、スムーズに閉域網の運用を始められません。

もし、こうした構築や運用のハードルに不安がある場合は、初期設計から保守・運用までを包括的にサポートする「FLESPEEQ VPN」のようなサービスを活用するのがおすすめです。

ネットワークの再構築や、業務内容に合わせたネットワークの構築が可能なサービスを選べば、手間や負担をかけずに安全性を高められます。

自社に適した閉域網の選び方

前述のとおり、一口に閉域網といっても以下の3つに分けられるため、自社に合うものを選定しなければなりません。

  • 専用線
  • 広域イーサネット
  • IP-VPN

それぞれが向いているケースと、自社の業務内容やネットワーク要件をすり合わせ、最適な方法を選びましょう。

最適な閉域網を選ぶことで、業務効率やセキュリティレベルも最適化されます。

専用線が向いているケース

金融、行政、医療機関など、高いセキュリティと通信品質が求められる業種には、専用線が適しています。

インターネットから完全に切り離された専用回線を用いることで、通信の秘匿性と安定性を高いレベルで確保が可能です。

ただし、導入と運用コストは高額になり、管理にも専門的な知識が必要になるため、小規模事業者や短期利用には向きません。

専用線の敷設は、自社の事業規模、取り扱う情報の内容などを十分に吟味したうえで検討するのがおすすめです。

広域イーサネットが向いているケース

柔軟なネットワーク構成と、高速通信の両立を重視する企業には、広域イーサネットが適しています。

広域イーサネットは、LANの延長のような感覚で拠点間接続ができ、構成のカスタマイズ性にも優れているのが特徴です。

そのため、複数拠点を持ちつつ、拠点ごとに異なるネットワーク要件がある企業にも適しています。

ただし、提供エリアや機器構成には制約がある場合も少なくないため、利用については事前確認が欠かせません。

IP-VPNが向いているケース

コストとセキュリティのバランスを重視しながら、多拠点展開を進めたい企業には、IP-VPNが適しているでしょう。

通信事業者が提供する閉域IP網を利用するため、インターネットを経由せずに安全な通信が可能です。

拠点の追加や変更にも柔軟に対応できるほか、専門知識がなくても導入しやすい点が大きなメリットです。

こうした特徴から、中規模以上の企業や、多数の営業所、店舗などを持つような企業におすすめできます。

まとめ

閉域網は、閉じられたネットワークを使用するため、インターネットのようなセキュリティリスクが少ない点が特徴です。

専用線、広域イーサネット、IP-VPNの3つの種類に分けられ、それぞれセキュリティレベルや費用が異なるため、自社の求めるセキュリティレベルや要件に合わせて選びましょう。

たとえば、コスト増に対応でき、最大まで秘匿性を高めたい場合は専用線を、コストと管理面で運用のしやすさを重視するならIP-VPNを選ぶのがおすすめです。

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通信キャリアの閉域網にVPNを構築するので、インターネットの影響を受けることなく、安全な通信環境が実現します。

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