
VPN 2025.06.03
2025.06.03
VPN
ネットワーク構築
閉域網とは、インターネットから隔離されたネットワークのことを指しますが、専用線と混同されることも少なくありません。
さらに、社内ネットワークを構築するうえでは、専用線とVPNの違いも理解しておきたいポイントです。
そこで今回は、閉域網と専用線の違いについて解説したうえで、VPNの種類や特徴を紹介していきます。
それぞれの選び方もまとめているので、ぜひ参考にしてください。
適切な通信回線を選ぶためには、まず、閉域網と専用線の違いを理解する必要があります。それぞれの特徴やセキュリティ、導入のしやすさについて解説します。
閉域網とは、限られた範囲のなかで、通信やデータ転送が行われるネットワークのことを指します。
これは、特定の組織、場所、ユーザーのみがアクセスできるプライベートな通信網で、安全性やプライバシーが確保された環境での通信を可能にします。
専用線のほか、VPNや広域イーサネットなどの技術を用いて構築され、通信事業者が管理するIPバックボーンを経由して、安全かつ柔軟に拠点間通信を行うのが特徴です。
通信がインターネットを経由しないため、情報漏洩や不正アクセスのリスクが大幅に軽減されます。
そのため、機密情報や顧客情報といった、外部に漏らしたくない情報を扱う際に利用するのが一般的で、企業の社内ネットワークなどに利用されています。
企業の要件に合わせて、スピードや帯域をある程度確保できるため、業務システムやクラウド接続といった幅広い活用が可能です。
専用線は閉域網の一種であり、2拠点の間を物理的に接続し、組織が独占的に使える回線のことを指します。
たとえば、「本社」と「支社」を一本の線で直結するようなイメージで、外部ネットワークを介さず通信できるため、高いセキュリティと安定性を確保できます。
他のユーザーと回線を共有しないため、通信速度を維持しやすく、容量の大きなデータでも送信しやすい点が特徴です。
通常は通信事業者が提供する回線を利用し、各拠点には「ONU(光回線終端装置)」や「L3スイッチ」といった機器を設置して運用するのが一般的です。
1回線での接続は、通信障害による影響が深刻でしたが、近年は「BGP4」のような制御プロトコルで、自動的にルートを切り替えられるよう進化しています。
ただし、設備や維持コストが高く、拠点を追加する際の柔軟性にも欠けるため、コストパフォーマンスを重視してVPNへ移行する企業も増えています。
閉域網は、VPNと専用線の2つに大別できます。
VPNが登場する前は、組織は専用線を利用するのが一般的で、光ファイバーなど、物理的に拠点間を接続する回線がありました。
現在も、金融機関や自治体など、専門業務を行うサービスでは専用線が利用されています。
しかし、専用線はランニングコストも高額になるため、近年は比較的安価なVPNを利用するケースが増えています。
ここでは、複数あるVPNの種類を解説するとともに、専用線とVPNの違いについて説明していきます。
参考記事:VPN(仮想プライベートネットワーク)とは?仕組みや活用シーンを紹介
インターネットVPN | エントリーVPN | IP-VPN | 広域イーサネット | |
コスト | 低 | 中 | 高 | 高 |
セキュリティ | 低 | 中 | 高 | 高 |
通信の安定性 | 低 | 中 | 高 | 高 |
導入しやすさ | ◎ | ○ | △ | △ |
VPNには、上表のとおり4つの種類があり、コストや特徴がそれぞれ異なります。
自社が取り扱うデータの種類や業務内容、運用のしやすさなどを考慮して選択する必要があります。
適切に選ばなければ、費用対効果が得られない、セキュリティが向上しないといった事態になりかねません。
以下、種類ごとの特徴を見ていきましょう。
インターネットVPNは、インターネット回線を利用して仮想ネットワーク環境を構築する接続方式です。
VPN対応ルータ、サーバーを設置するだけで手軽に導入できます。
専用回線が不要で、インターネット環境さえあれば容易に接続できるため、導入コストを抑えられるのも魅力です。
ただし、インターネット環境は多くの人が利用できるので、回線の混雑状況によっては通信に支障が生じかねません。
また、インターネットを利用する以上、第三者による攻撃を完全に排除することもできないため、適切なセキュリティ対策が必要です。
VPNルータや、クライアントソフトの設定次第で安全性が大きく変わってしまうので、慎重な設計が求められます。
それでも、導入のハードルが低く安価で利用できるインターネットVPNは、コストを重視する企業にとって有力な選択肢といえるでしょう。
エントリーVPNは、通信事業者が提供する閉域網と、インターネット回線を組み合わせたネットワークです。
サービス事業者の閉域網を使用するため、インターネットVPNに比べて安全性が高いのが特徴です。
インターネット回線を利用できるので、遠隔地の支店や拠点でも比較的簡単に接続できます。
また、帯域保証型回線が必要になるIP-VPNより低コストで利用でき、コストを抑えてセキュリティレベルを高めたい場合におすすめです。
とくに小規模な拠点に導入しやすく、広域展開する中小企業にとって利便性が高い選択といえます。
ただし、IP-VPNや専用線のように帯域の保証はなく、利用状況によっては通信が不安定になる点には注意しましょう。
混雑時など、通信状況が悪いときは、一旦時間を置くなどして対応する必要があります。
IP-VPNは、通信事業者の閉域ネットワークを利用する方式で、通信事業者と契約しているユーザーでなければアクセスできません。
サービス事業者が持つ仮想専用線を使うためセキュリティレベルが高く、通信の安定性やセキュリティを重視する企業に広く採用されています。
また、地理的に離れた拠点間でも安定した通信が実現できる点もメリットです。
インターネットVPNと比較すると初期費用や運用コストが高額にはなりますが、その分、企業のセキュリティ対策にはIP-VPNのほうが適しています。
各設定や運用・管理のほとんどをサービス事業者に任せられるのが一般的で、自社の負担を大きく軽減できる点も魅力です。
広域イーサネット(イーサネットVPN)は、通信事業者の閉域ネットワークを利用してL2(レイヤ2)で接続する方法です。
各拠点を一つのLANのように接続でき、既存の社内ネットワーク構成をそのまま拡張できるのが特徴です。
仕組みはIP-VPNと似ていますが、主に使用するプロトコルが異なるため、設定などがより煩雑になります。
プロトコルとは、データのやり取りにおける手順や決まりなどを定めた通信規約で、広域イーサネットはこのプロトコルに制限がないため、柔軟なネットワーク環境の構築が可能です。
高セキュリティで、広範囲で安定した通信環境を整えられるのが魅力ですが、ほかの3種類のVPNと比べるとコストが高くなるのが難点です。
そのため、たとえ費用がかかっても、高品質な閉域網を柔軟に使用したいという場合に適しています。
参考記事:VPN接続の種類は4つ!それぞれの違いを詳しく解説
専用線 | VPN | |
セキュリティ | ◎ | △~◎ 接続方式によって異なる |
通信の安定性 | ◎ | △~◎ |
コスト | 高額 | 比較的安価 |
構築の柔軟性 | △ 物理的な制約あり | ◎ 変更・拠点追加しやすい |
接続できる拠点数 | △ 基本的に2拠点間での通信に特化 | ◎ 複数拠点の同時接続が可能 |
VPNと専用線の違いとして、通信の安定性、セキュリティの強度、導入のしやすさなどが挙げられます。
専用線は、契約している企業のみが利用できる物理的な専用回線で、完全に閉じたネットワークであるため、セキュリティレベルが非常に高いのが特徴です。
また、帯域が保証された回線で拠点間を直接つなぐため、通信の安定性にも優れています。
ただし、基本的に2拠点間での接続に特化しているので、拠点の追加が柔軟に行えない点には注意しなければなりません。
一方、前述のとおり4つの接続方式があるVPNは、それぞれセキュリティの強度や安定性に違いがあります。
VPNを導入すれば、専用線に比べてネットワークの変更や拠点の追加が容易にできるほか、複数拠点での同時接続も可能です。
ただし、たとえば安価なインターネットVPNと信頼できるベンダーのIP-VPNとでは、セキュリティレベルと通信の安定性などに大きな差が生まれるので、自社の要件に合わせて慎重に検討する必要があります。
社内ネットワークを閉域網で構築する場合、専用線にするべきか、VPNを導入するべきかは悩ましいポイントです。
最適なサービスは重視する点や予算によって変わるため、自社の業務内容や取り扱うデータなどから要件を明確にしていきましょう。
ここでは、企業の要件ごとに適した通信回線を提案していきます。
セキュリティを最優先に考える場合は、閉域網の中で最も堅牢なセキュリティを提供する専用線が推奨されます。
外部からの接続が制限され、拠点外のユーザーはアクセスできないため、インターネット利用によるセキュリティリスクを大幅に軽減することが可能です。
例えば、通信内容の盗聴や改ざん、不正侵入といった外部リスクを根本的に排除できます。
自社のみで利用するのでユーザーの数が限られており、通信速度が落ちることなく、品質の高い通信を維持できるのも利点です。
そのため、機密性の高いデータを取り扱う企業、または複数の拠点でこれらの情報を扱う企業にとっては、専用線の導入が合理的な選択になるでしょう。
ただし、専用線の導入には初期費用やランニングコスト、運用までにかかる時間が課題になるため、それらも踏まえて十分に検討する必要があります。
全国に支店や拠点を持ち、安定かつ安全な通信環境を簡単に構築したい企業には、IP-VPNが適しています。
IP-VPNは自由度が限られており、マルチプロトコルの利用はできませんが、広域イーサネットのように各拠点に対して複雑なルーティング設定をする必要はありません。
そのため、専用線または広域イーサネットと比較して、導入と運用がしやすい点が大きな魅力です。
例えば、いくつかの拠点に対して、閉域網をスピーディーに取り入れるといったケースに適しています。
また、インターネットVPNに比べて高いセキュリティが実現できるほか、帯域が確保できるため、安定した通信速度を維持できるのも利点です。
コストをできるだけ抑えたい場合には、コストパフォーマンスに優れているエントリーVPNの利用が候補にあがります。
エントリーVPNは、インターネット回線を使用して、通信事業者の閉域網に接続する方法で、安価に利用することが可能です。
また、インターネットから切り離された閉域網内でVPNを構築するため、より安価なインターネットVPNよりも安全性が高くなります。
セキュリティレベルはIP-VPNに劣りますが、極力コストを抑えて拠点間接続の安全性を高めたい場合には、適した選択肢といえるでしょう。
ただし、帯域幅の保証がないため、通信が不安定になり、業務に支障をきたす可能性もあるため、自社の業務をしっかり確認したうえで検討する必要があります。
カスタマイズ性を重視する場合は、要件に合わせてアレンジしやすい広域イーサネットの検討をおすすめします。
広域イーサネットも、通信事業者の閉域網を使用しており、L2(レイヤ2)で拠点間をVPN接続します。
ネットワーク構成に対する柔軟性が高く、利用する環境に応じてさまざまなカスタマイズが可能です。
ユーザーがルーティングやIPアドレス設計を自由に行えるため、企業ごとの要件に応じて柔軟に構築できます。
ほかのVPNと比較した場合に、料金や導入期間がネックになるものの、カスタマイズ性の高さは大きな導入理由になります。
複数拠点それぞれの通信環境を、柔軟にカスタマイズしたい企業にとって、広域イーサネットは最適な選択といえるでしょう。
専用線やVPNなど、限られた範囲のなかで通信やデータ転送が行われるプライベートなネットワークのことを閉域網といいます。
完全に閉じられたネットワークである専用線と、複数の接続方法を持つVPNに分けられるため、自社の要件に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。
専用線は、安全性が非常に高い反面、導入や運用にかかる費用が膨大になるのがネックです。
また、インターネットVPNは、安価に利用できる一方、セキュリティレベルが懸念点になります。
そのため、社内ネットワークを構築する場合は、高いセキュリティと安定した通信を実現できるIP-VPNがおすすめですが、高品質な分、コストが大きくなりがちです。
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閉域網に構築するため、セキュリティリスクがあり、不安定になりがちなインターネット通信に影響されません。
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