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2024.06.03

UTMとルーターの違いとは?それぞれの役割や設置場所を解説

セキュリティ環境を整えるうえで、UTMとルーターの違いを知っておくことは重要です。

UTMとルーターは、どちらも社内ネットワークと外部ネットワークの中間に設置する機器ですが、その役割は大きく異なります。

それぞれの特徴や機能について理解していないと、適切なセキュリティ環境を構築することができません。

そこで今回は、UTMとルーターの違いについて解説するとともに、それぞれの役割、設置場所、注意点なども紹介します。

 

UTMとルーターの違い

UTMは、不正なアクセスやウイルスを自社ネットワークの出入口でブロックするセキュリティ製品です。複数のセキュリティ機能が搭載されており、幅広い対策が可能になります。

一方、ルーターは、社内ネットワークと外部のネットワークが相互に接続するためのネットワーク機器で、UTMとは役割が異なります。

UTMとルーターは、どちらか一方を選択するのではなく、両方を設置するのが一般的です。それぞれの特徴や役割について確認しておきましょう。

 

UTMとは複数のセキュリティ機能が統合された製品

UTMとは複数のセキュリティ機能が統合された製品のイメージ

 

UTMとは、複数のセキュリティ機能を一つのハードウェアに集約した製品を指します。

UTMという言葉は「Unified Threat Management:さまざまなセキュリティリスクを統合的に管理する手法」を略したものですが、セキュリティ製品の名称として用いられることが一般的です。

UTMには、ファイアウォールやアンチウイルス、Webフィルタリング、アンチスパムなどの機能が搭載されています。

UTMのメリットは、年々多様化、巧妙化するサイバー攻撃に、一つの機器でまとめて対処できることです。

また、脅威に合わせて個別にセキュリティ機器を導入・運用する必要がないため、初期費用やランニングコストの削減にもつながるでしょう。

 
関連記事:UTM(統合脅威管理)とは?概要や主な機能、導入事例を解説

 

ルーターとは複数の端末をインターネットに接続するための機器

ルーターとは複数の端末をインターネットに接続するための機器のイメージ

ルーターとは、パソコンやスマホといった端末をインターネットなど外部のネットワークに接続するためのネットワーク機器です。

インターネットを利用するときは、一般的にモデムまたはONUとともに、ルーターを使用します。

ルーターには、端末をLANケーブルで接続する有線接続と、LANケーブルを使用しない無線接続の2つの接続方法があります。

また機器の種類は、一定の場所で使用する「据え置きルーター」と、屋外でも使用できる「モバイルルーター」の2タイプに分けられ、用途に応じて使い分けることが可能です。

ルーターの役割はあくまでも端末を外部ネットワークに接続することなので、セキュリティ管理を担うUTMとは根本的な仕組みが異なります。

そのため、高いセキュリティレベルを維持しつつネットワーク環境を構築するには、どちらか一方を導入するのではなく両者の機能が必要になるでしょう。

 

UTM機能が付随したルーターも存在する

ルーターのなかにはUTM機能を兼ねた製品もあります。

このような製品を選べば、1台の機器でUTMとルーター両方の機能を使うことが可能です。UTMとルーターそれぞれの機器を管理する手間が省けるほか、複数の機器を導入する費用も削減できます。

さまざまなセキュリティ対策が一元管理できれば、情シス担当者の負担を軽減する効果も期待できるでしょう。

ただし、機能が充実している製品ほど動作に負荷がかかる点には注意が必要です。

ルーターの処理能力によっては通信速度が落ちる可能性があるため、場合によってはUTMとルーターで別々の機器を導入したほうが最適解になり得ることもあるでしょう。

 

UTMとルーターの設置場所

UTMは、下図のようにルーター直下(端末側)に設置するのが一般的です。

UTMとルーターを設置する際に注意すべきことのイメージ

ルーターは、社内ネットワーク(LAN)と外部のネットワークをつなぐ役割を担っているため、UTMをその直下に置くことで不正アクセスに対応できるようになります。

この方法はブリッジモードと呼ばれ、既存のネットワーク構成を変える必要がないので、設定が簡単に行えるのが利点です。

多くのUTMにはレポート機能があり、不正アクセスやログを確認することができるため、セキュリティ事故が起きた場合の原因究明にも役立ちます。

UTM機能が搭載されたルーターを設置する場合は、上の図のルーターの位置に機器を単体で設置します。

この場合はUTMをルーターとして使用するため、前述のブリッジモードからルーターモードに変更して設置するのが一般的です。

ただし、一台で両方の役割をこなすため、接続台数や製品の性能によってはパフォーマンスが悪くなる可能性があります。導入の際は、自社の要件に適したスペックかどうかを確認しましょう。

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UTMとルーターを設置する際に注意すべきこと

UTMとルーターを設置する際に注意すべきことのイメージ

UTMとルーターを設置する際には、負荷や障害の可能性を考え、適切な環境を整える必要があります。

また、多機能すぎる機器を選ぶと、十分に使いこなせないケースも少なくありません。自社の状況と照らし合わせて製品やサービスを選ぶことが大切です。

ここでは、UTMとルーターを設置する際の注意点を2点紹介します。

 

UTM障害によりネットワークに問題が生じる可能性がある

UTMを搭載したルーターを使用する場合、UTMに障害が起こると、ネットワークへと波及する可能性があります。

万が一UTMシステムがダウンしてしまえば、セキュリティ効果が失われるだけでなく、ネットワークとの接続もできなくなる可能性があるでしょう。

またUTMは、多層防御の仕組みを維持するために通信データを頻繁にチェックするため、ネットワークに遅延が生じることがあります。

加えてアプリケーションコントロールによって処理が重くなるなど、障害が発生していない場合でも、ネットワークがスムーズに機能しないケースもあります。

どの程度の負荷がかかるかは実際に使ってみないとわからないため、必ず導入前にステージング環境(本番に限りなく近いテスト環境)で検証を行うことが大切です。

 

すべての機能を使いこなせない可能性がある

自社の運用ノウハウや担当者の知識によっては、多機能なUTMを使いこなせない可能性も考えられるでしょう。

たとえば、UTMに搭載された機能のなかでファイアウォールしか動かせていなければ、製品そのものの費用対効果が低下してしまいます。

また、UTMはルーターとセットで設置するケースが多いため、セキュリティだけでなくネットワークに関する知見も必要です。

UTMの導入に不安がある、活用できるか心配という場合は、信頼できるベンダーに相談してから検討するのもよいでしょう。

UTMの取り扱いが難しい場合は、優先順位に応じてファイアウォールやアンチウイルスなどの製品を個別に導入し、スモールスタートしてみるのも一案です。

 

(まとめ)UTMとルーターの違いを理解してセキュアなネットワーク環境を構築しよう

UTMとルーターは、どちらもネットワークの出入口に設置する機器ですが、複数のセキュリティ機能を持つUTMと、ネットワークと端末を接続するための機器であるルーターでは、その役割が大きく異なります。

両方の機能を併せ持つ製品もあるため、導入の際は自社の要件にあわせて選ぶことが大切です。

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