セキュリティ 2026.02.04
2026.02.04
セキュリティ
ネットワーク構築

テレワークやクラウドの普及に伴い、「ゼロトラスト」という言葉を耳にする機会が増えました。従来の境界防御に代わる新しいセキュリティ対策として注目されていますが、「導入コストが高そう」「運用が大変なのでは」と不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
実際、理想だけを追い求めて導入すると、現場の負担増やコスト増といったデメリットに直面することがあります。しかし、適切な進め方を選べば、こうしたリスクは回避可能です。
本記事では、ゼロトラストのメリットだけでなく、見落とされがちなデメリットやその発生原因を徹底解説。中小企業が失敗せず、無理なくゼロトラストを実現するための現実的なステップをご紹介します。

ゼロトラストとは、すべてを信頼しないことを前提にしたセキュリティの考え方です。従来の境界型セキュリティは、社内ネットワークの内側は安全、外側は危険という発想に基づいていました。
しかし、テレワークやクラウド利用が一般化した現在では、社内外の境界は曖昧になっています。そのため、一度内部に侵入されると被害が広がりやすいという課題がありました。
ゼロトラストでは、社内ネットワークであっても無条件に信用せず、通信やアクセスのたびにユーザーや端末の状態を確認します。
サイバー攻撃の高度化や内部不正の増加を背景に、場所に依存しない安全なアクセス管理が求められる今、ゼロトラストが注目されています。
ゼロトラストは、単一の製品や仕組みで実現できるものではありません。ネットワーク、データ、端末、クラウド、認証、ログ、運用といった複数の領域を組み合わせて構築します。
それぞれが独立して機能するのではなく、相互に連携することで、すべてのアクセスを常に検証する環境を実現します。
以下では、ゼロトラストを支える7つの要素について、それぞれの役割と重要性を整理して解説します。
ネットワーク保護は、社内外の通信を安全に制御することを目的とします。ゼロトラストでは、社内ネットワークであっても無条件に信頼せず、通信ごとにユーザー、端末、接続元の状態を確認します。
VPNに依存せず、インターネット経由でも安全にアクセスできる仕組みを採用することで、テレワーク環境でもリスクを抑制可能です。
通信経路を細かく制御することで、不正アクセスや盗聴のリスクを最小限に抑え、場所を問わず安全な業務環境を実現します。
データ保護は、企業の重要な情報資産を守る中核となる要素です。ゼロトラストでは、データの保存場所に関係なく、常に漏えいリスクを前提に対策を講じます。
ファイルごとにアクセス権限を細かく設定し、暗号化や持ち出し制御を組み合わせることで、万が一侵入を許した場合でも被害を限定できます。
クラウド環境においても、機密情報を安全に扱える体制を整えることで、利便性とセキュリティを両立します。
ゼロトラストでは、利用する端末の安全性も重要な判断要素となります。業務用端末かどうかを確認し、OSやセキュリティ更新が最新であるかを常にチェックします。
安全性が担保された端末のみアクセスを許可することで、マルウェア感染などのリスクを低減できます。
MDMやEDRを活用すれば、遠隔ロックやマルウェア検知も可能です。端末を無条件に信頼せず、状態を常に確認する姿勢が重要です。
クラウド上の業務アプリケーションも、ゼロトラスト前提での保護が不可欠です。誰がどのアプリにアクセスしているのかを可視化し、必要最小限の権限だけを付与します。
APIや管理画面への不正アクセスを防止することで、設定ミスや情報漏えいのリスクを低減できます。クラウドの柔軟性を活かしながら、安全性を確保するための重要な要素です。
認証・認可は、ゼロトラストの中心となる仕組みです。IDとパスワードだけに依存せず、多要素認証を導入することで、なりすましリスクを大きく低減できます。
また、役割や業務内容に応じてアクセス範囲を制限し、不要な権限を付与しない運用が重要です。誰が、いつ、何にアクセスできるのかを明確に管理することで、不正利用を防ぎます。
ログの可視化と分析は、異常を早期に発見するために欠かせません。アクセス履歴や操作ログを継続的に収集し、通常とは異なる挙動を検知します。
ログを蓄積するだけでなく、分析しやすい形で可視化することで、問題発生時の原因追跡にも活用できます。これにより、セキュリティ対策の改善と防御レベルの向上につながります。
ゼロトラスト環境では、セキュリティ運用の自動化が重要です。異常なアクセスを検知した際に、自動で遮断や隔離を行うことで、被害拡大を未然に防ぎます。
人手対応に依存すると、運用負荷や対応ミスが増えやすくなります。自動化を取り入れることで運用の安定性が向上し、少人数の情シス体制でも継続的なセキュリティ運用が可能になります。
参考記事:ゼロトラストとSASEの違いとは?関係性や環境構築のメリットについて解説
ゼロトラストは理想的なセキュリティモデルとして語られることが多い一方で、実際の導入や運用では課題も少なくありません。
特に現場や情シスの負担、日常業務への影響といった点は、導入後に初めて実感されるケースも多いです。
メリットだけを見て進めてしまうと、想定外のコスト増や使いにくさが表面化し、社内の不満につながることもあります。
ここでは、あまり強調されにくいゼロトラストの代表的なデメリットを紹介します。
ゼロトラストは単一製品で完結するものではなく、認証、端末管理、ネットワーク、ログ分析など複数の製品を組み合わせて構築するケースが多くなります。
その結果、製品ごとのライセンス費用が積み上がり、想定以上にコストが膨らみやすい傾向があります。
さらに、導入前には業務フローや権限設計の見直しが必要となり、初期設計の負荷も小さくありません。運用開始後もポリシー調整や例外対応が発生し、継続的な運用設計が求められます。
情シス人員が限られる中小企業ほど、設定変更や接続トラブルに関する問い合わせ対応が重くなりやすい点は現実的な課題です。
ゼロトラストでは、IDとパスワードに加えて多要素認証を求められる場面が増えます。端末や利用場所が変わるたびに再認証が発生しやすく、短時間の作業でもログイン手順が増えることで、利用者のストレスにつながりやすくなります。
現場ではセキュリティの重要性よりも、手間が増えたという印象が強く残りがちです。認証トラブルが発生した場合、業務が一時的に停止してしまうケースもあり、利便性への不満が表面化しやすいポイントになります。
セキュリティを強化すればするほど、業務効率が下がるというトレードオフが発生しやすくなります。アクセス制御が厳しすぎると、必要なデータやツールにすぐアクセスできず、業務のスピード感が落ちてしまいます。
その結果、現場が不便さを回避するために非公式ツールを使い始めるリスクも高まります。設計を誤るとかえって全体の生産性を下げてしまい、過剰な制御はシャドーITを誘発しやすい点には注意が必要です。
参考記事:ゼロトラストとVPNの違いとは?5つの相違点や向き・不向きを解説
ゼロトラストのデメリットは、考え方そのものよりも導入の進め方によって生じることが多いです。理想論として捉え、最初から全領域を一気に実装しようとすると、設計が複雑化しやすくなります。
認証、端末管理、ネットワーク、ログ分析を同時に導入した結果、現場と情シスの双方が混乱するケースも少なくありません。
自社の規模やITリテラシーを考慮せず、大企業向けの高度な製品を選定してしまうと、業務フローと合わず形だけの対策になりがちです。段階導入を想定せず一気に切り替えることで、コスト増、運用負荷増、現場の不満が同時に発生してしまいます。
ゼロトラストは、完成形を一気に目指すものではありません。自社の課題やリスクが高い部分から順に対策していく発想が重要です。セキュリティ強化と業務継続のバランスを取らなければ、現場で使われない仕組みになりやすくなります。
使いやすさを無視した設計は形骸化の原因になります。小さく始めて改善を重ねる進め方こそが、現実的で成功につながります。以下では、無理なく導入するための具体的な考え方を紹介します。
すべての領域を同時に守ろうとしないことが重要です。最初は社外からのアクセスや重要システムへの入口対策に絞ることで、負担を抑えながら効果を得られます。誰が、どこから、何にアクセスしているかを把握することが第一歩です。
アクセス制御は効果が分かりやすく、導入成果を実感しやすい領域でもあります。入口を固めるだけでもリスクは大きく下げられます。成果を確認しながら、次の領域へ段階的に広げていく進め方が現実的です。
現場が使えないセキュリティは長続きしません。認証回数や操作手順は、できるだけ最小限に抑える工夫が必要です。
利便性を無視すると、不満が溜まり形だけの運用になりやすくなります。業務への影響を事前に想定した設計が欠かせません。現場の声を取り入れながら調整する姿勢が重要です。使いやすさと安全性を両立できるかどうかが、定着の鍵になります。
高機能すぎる製品は、かえって運用負荷を高めやすくなります。設定や管理が分かりやすいサービスを選ぶ視点が重要です。
情シス人員が少なくても回せることを前提に検討する必要があります。導入コストだけでなく、運用コストも含めて判断することが欠かせません。
複数製品を無理に組み合わせないという選択も有効です。継続的に使い続けられることが、最終的な安全性につながります。

ゼロトラストは、すべての企業に一律で必要というものではありません。しかし、働き方やIT環境の変化によって、従来のセキュリティモデルでは対応しきれなくなっている企業にとっては、有効な選択肢になります。
特に、社外からのアクセスが増えている、利用者や端末の管理が複雑化しているといった状況では、ゼロトラストの考え方が課題解決につながりやすくなります。ここでは、ゼロトラスト導入と相性が良い代表的な企業のケースを紹介します。
テレワークやクラウド利用が増えている企業は、ゼロトラストと特に相性が良いと言えます。社外からのアクセスが常態化すると、社内ネットワークを前提にした境界型セキュリティでは対応が難しくなります。
ゼロトラストでは、社内外を問わずネットワークを無条件に信頼せず、ユーザーや端末単位でアクセスを制御します。そのため、場所に依存しないセキュリティ設計が可能になります。働く場所の自由度を保ちながら、業務に必要なアクセスだけを安全に許可できる点が大きなメリットです。
協力会社や外部パートナーが社内システムにアクセスする企業にも、ゼロトラストは適しています。従来の仕組みでは、管理の手間を減らすために過剰な権限を付与してしまうケースが少なくありません。
ゼロトラストでは、必要最小限の範囲だけアクセスを許可できるため、リスクを抑えた運用が可能です。社内外を問わず同じルールで管理でき、権限の透明性も向上します。その結果、情報漏えいや内部不正のリスク低減につながります。
全社一斉の大規模なセキュリティ刷新に不安を感じている企業にも、ゼロトラストは向いています。
重要なシステムや一部のユーザーから段階的に導入できるため、コストや運用負荷を抑えながら進められます。
小さく始めて効果を確認し、問題点を調整しながら適用範囲を広げることが可能です。この進め方であれば、自社の業務や体制に合ったゼロトラスト環境を、無理なく構築していくことができます。
本記事では、ゼロトラストのデメリットとその対策について解説しました。コストや運用負荷、利便性の低下といった課題は確かに存在しますが、その多くは「一気に導入しようとする」「自社に合わない製品を選ぶ」といったやり方に起因します。
ゼロトラスト成功の近道は、最初から完璧を目指さず、優先度の高いアクセス制御から無理なく始めることです。まずはスモールスタートで、現場の負担を抑えながらセキュリティを強化してみてはいかがでしょうか。
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