ビジネスシーンでも、プライベートでも、インターネットやデジタル端末を扱う際にはセキュリティ対策が必要不可欠です。
ひとたびセキュリティトラブルが発生すれば、大きな損害を被る可能性があるため、用途に応じて適切な対策を講じる必要があります。
この記事では、情報セキュリティ対策の重要性と、企業、個人が行うべき対策の具体例を紹介しています。セキュリティ対策が不十分な場合のリスクも、あわせて確認しておきましょう。
情報セキュリティ対策とは、さまざまなサイバー攻撃やマルウェア感染などのリスクから、情報資産、情報システムを保護するための取り組みです。
インターネットやデジタル端末の普及により、生活や仕事における利便性は大きく向上しました。しかしその一方で、これまでにはなかった様々なリスクにもさらされています。
企業においては、外部からの攻撃はもちろん、内部で起こるミスや不正によるリスクへも、対策が必要です。
一度でも個人情報の流出や不正使用といったトラブルが発生すれば、企業の信用が失墜するだけでなく損害賠償問題などに発展しかねません。
また、企業だけではなく個人単位でも、情報セキュリティ対策を十分に行うことが大切です。
適切な情報セキュリティ対策ができていない場合、以下のようなトラブルに発展するリスクがあります。
それぞれ見ていきましょう。
情報漏洩とは、個人情報や企業の機密情報が外部に流出してしまうことです。流出経路は多岐にわたり、以下はその一例です。
なお、情報漏洩は、流出したデータの内容に関わらず、「情報漏洩した」という事実そのものが取引先や顧客からの信用低下、損害賠償問題につながることも大きなリスクです。
企業においては、改正個人情報保護法の施行により、情報漏洩発生時の報告が義務化されるとともに、コンプライアンス違反に対する罰則が強化されています。
マルウェアとは悪意のあるソフトウェアの総称です。具体的には以下のようなものが挙げられます。
ひとたびマルウェアに感染すると、悪意のある第三者による遠隔操作やデータ改ざん、あるいは身代金の要求にも発展する恐れがあります。
マルウェアを駆除する過程で、バックドア(攻撃者がシステム内に不正侵入するための入口)が一つでも残っていれば、再攻撃を受けるケースがある点も厄介なポイントです。
また、感染した一台から、内部ネットワークを通じて別の端末に伝染する可能性にも注意が必要です。
セキュリティ対策が不十分であれば、端末や業務システム、クラウドサービスなどに不正アクセスを許す可能性も考えられるでしょう。
不正アクセスの被害に遭うと、企業であれば機密情報の盗難や改ざん、システム停止、個人ではクレジットカード情報の盗難やアカウントの乗っ取り、などが起こり得ます。
不正アクセスが起こる原因としては、IDやパスワードの外部流出、パソコン画面の盗み見、アップデートファイルの改ざん、フィッシングなどが挙げられます。
セキュリティ対策ができていない場合、漏洩や改ざんトラブルだけでなく、サーバーやネットワーク機器などのハードウェアがシステム障害に巻き込まれる可能性があります。
これらは、外部から攻撃を受けて起こるほか、自然災害や停電、故障などによっても起こる可能性があります。システムトラブルによって重要なデータが消失するのもリスクの一つです。
とくに企業の場合、日常的に利用する業務システムがダウンすると業務に支障が出るばかりか、顧客や取引先に迷惑をかけてしまいかねません。
情報セキュリティ対策は、トラブル防止のため、個人でも企業でも適切に取り組む必要があります。
以下、情報セキュリティ対策の具体例を紹介するので、現在の対策と照らし合わせて強化にご活用ください。
クラウドサービスやソフトウェアを利用する際は、同じログインパスワードを使い回すケースも少なくありません。
このとき、全く同じパスワードを使用するのではなく、適度に分散して異なるものを設定するのがおすすめです。
自身にしかわからない、規則性のない文字列を使用するなどの工夫も重要です。名前や誕生日といった推測されやすい文字列は避け、飼っているペットの名前や、他者が推測できない記念日などを使ってみましょう。
フィッシングの手口は、公式サイトに類似した偽サイト(フィッシングサイト)から情報を盗み取る、偽装メールでフィッシングサイトへのアクセスを促すといったものが挙げられます。
フィッシングサイトにアクセスすると、ページ内で入力した個人情報やログイン情報、クレジットカード情報などが盗み取られるため、大きな金銭被害につながる恐れもあります。
これらの被害に遭わないためには、WebサイトのURLが正しいか確認する、よく使用するWebサイトをブックマークしておくなどの対策が有効です。
メールに関しては、送信元や本文に不審な点がないかをしっかり確認しましょう。
個人情報の流出を避けるには、自身のパソコンやスマートフォンであっても、安易に氏名や住所、連絡先などを保存しないことが大切です。
デバイスの紛失や盗難により、個人情報が第三者に盗み取られる可能性が考えられます。
ハードウェアだけでなく、クラウドストレージやローカルフォルダ、SNSなどソフトウェア面でも同様に対策しておきましょう。
企業がクラウドサービスや業務システムを使用する場合、複数のユーザーが同一のシステムを利用するケースも珍しくありません。
そのため、ユーザーごとのIDやパスワードを一元的に管理することが重要になります。
アカウント情報の一元管理では、IDやパスワードの共通ルールを作り、個人用のパスワード管理と同じく、他者から推測されにくい文字列を設定しましょう。
たとえば、氏名と部署名を組み合わせたり、社員IDとは別に特有のコードを作成したりなどが考えられます。
また退職者のアカウントは、不正に使用されないよう、速やかに削除や無効化を行うことも忘れないでください。
従業員や取引先、業務委託先など、社内外から多くの人物が一つのシステムにアクセスする場合、適切な権限設定が必要です。
すべてのデータに対して、誰もが容易にアクセスできるような環境では、情報流出の温床になりかねません。
たとえば、ファイルAへのアクセスは、社内の管理者層のみが閲覧・編集権限を持ち、それ以外の従業員は閲覧のみ、外部の人物は閲覧も不可といった設定をしておくとよいでしょう。
データごとに細かく権限を設定することで、情報漏洩リスクを抑えることが可能です。
さまざまな従業員があらゆるデータにアクセスできる企業においては、外部からの攻撃だけでなく、内部不正によって情報漏洩が起こる可能性が高くなります。
そのため、情報を扱ううえでの管理体制や管理基準、取扱基準などを明確にルール化することが重要です。
また、テレワークを推進する際にも、情報管理ルールの策定は欠かせません。
テレワークでは、社外にいる従業員の働き方を観察できないため、以下のようなリスクが懸念されます。
パソコンやタブレットの持ち出しは事前申請を行う、個人所有のデバイスは許可されたもののみを使用するなど、テレワーク特有のルールも必要になるでしょう。
パソコンやスマートフォンに含まれるソフトウェア、Wi-Fiルータなどに搭載されているファームウェアは、機能の追加や脆弱性の発見により度々アップデートが行われます。
アップデートが反映されていない状態では、新しい機能を使えないだけでなく、外部から脆弱性を突かれて攻撃を受けるリスクも高くなります。
また、メーカーサポートが終了した古い機器や端末は、各種アップデートが適用されないことが多いため、注意が必要です。
セキュリティリスクの増大を避けるためにも、ソフトウェアやファームウェアは定期的にアップデートし、常に最新の状態を保ちましょう。
外部からの攻撃に対しては、ファイアウォールやアンチウイルスといったセキュリティツールが効果を発揮します。
しかし、近年のサイバー攻撃は多様で巧妙になっているため、一つひとつの手口に個別に対処するには膨大なコストや手間がかかります。
そこでおすすめなのが、UTMのように複数のセキュリティ機能がパッケージ化されたサービスを活用することです。
ファイアウォールやフィルタリングなどのセキュリティ機能を一台に集約したUTMは、各機能の設定を一元管理でき、手間を掛けずにセキュリティの強化が図れます。加えて、デバイスの購入や管理に関わる人件費などを抑えることも可能です。
参考記事:UTM(統合脅威管理)とは?概要や主な機能、導入事例を解説
現代人は、仕事でも私生活でもデジタル機器を扱うことが多いため、さまざまなセキュリティリスクを抱えています。
サイバー攻撃やウイルス感染などの被害に遭い、情報漏洩、データ改ざんといったトラブルに巻き込まれれば、深刻なダメージを受けることになりかねません。
とくに企業は、社会的な信用が低下するほか、多額の損害賠償が発生するなど、損害が大きくなる可能性が高いため、適切なセキュリティ対策が求められます。
アカウントや情報管理においてルールを策定するほか、セキュリティレベルの強化につながるツールの導入を検討するとよいでしょう。
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