
Wi-Fi 2025.05.01
2025.05.01
Wi-Fi
ネットワーク構築
Wi-Fiを導入するにあたって、最新規格であるWi-Fi 7に注目している方も多いでしょう。
最新規格にするべきか、従来の規格にするべきかは頭を悩ませるポイントです。
そこで今回は、Wi-Fi 7と旧規格の違いを確認しながら、その特徴や活用シーンについて解説していきます。
Wi-Fi 7は、Wi-Fi 6をベースに、通信効率や遅延が改善された次世代の無線LAN規格です。
これは新たにIEEE802.11beという規格になり、Wi-Fi Allianceの認定7番目の規格として「Wi-Fi 7」の名称で案内されています。
従来の規格と比べて最大通信速度や安定性が向上し、より多様なWi-Fiの利用シーンに対応可能となりました。
国内では、2023年12月に総務省が電波法施行規則を改正し、新たな無線LAN通信規格としてWi-Fi 7の利用を認可しています。
参考:IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)の導入について
Wi-Fi 7は、前述のとおり最新の無線LAN規格であり、従来のWi-Fiと比べて性能が向上しています。
具体的には下表のように、最大帯域幅やアンテナ数が変更されたことで、通信速度、通信効率が改善されました。
また、MLOへ対応したことで、より安定した通信ができるようになっています。これらWi-Fi 7の特徴を、旧規格との違いとあわせて詳しく見ていきましょう。
項目 | Wi-Fi6 | Wi-Fi7 | ポイント |
---|---|---|---|
最大帯域幅 | 160MHz | 320MHz (Wi-Fi 6の2倍) | より多くのデータを一度に送受信でき、通信速度が向上 |
変調方式 | 1024QAM (10ビット) | 4096QAM (12ビット) | 理論上の通信速度が約20%向上 |
アンテナ数 | 最大8×8 | 最大16×16 (Wi-Fi 6の2倍) | 安定性および通信効率が大幅に向上 |
MU-MIMO | 送信/受信の両対応 | 継続対応 (アンテナ増加と相性◎) | 複数端末への同時通信性能がさらに強化 |
MLO対応 | 非対応 (1つの電波しか使えない) | 対応(2.4GHz / 5GHz / 6GHzを同時に使える) | 干渉の影響を受けにくく、より安定した通信が可能に |
Wi-Fi 7では、Wi-Fi 6(160MHz)の倍になる320MHzの帯域幅を使用して通信できるようになりました。
これにより、広い周波数帯を使って多くのデータを同時に送受信できるため、通信速度の向上が期待できます。
最大46Gbps以上の高速通信が可能になり、大容量かつ低遅延を求める通信において恩恵が大きいでしょう。
ただし、320MHz帯域を利用するには6GHz帯の対応が前提になるため、利用環境や機器の対応状況によって実効性が変わる点には注意が必要です。
Wi-Fi 7では、4096QAM(12ビット)による伝送に対応することで、通信をより効率的に行えます。
1024QAM(10ビット)が用いられていたWi-Fi 6と比べて、1つのシンボルで表現できる情報量が増加し、より高密度なデータ伝送が可能になりました。
これにより、理論上のスループットが向上するだけでなく、同じ帯域幅でもより多くのデータを処理できるため、通信効率の改善が期待できます。
Wi-Fi 7では、Wi-Fi 6までの2倍にあたる16×16(送受信で各16本)のアンテナを用いて通信できるようになっています。
同時に接続できる台数が増え、各デバイスをより安定して利用できるのが特徴です。
複数の通信経路(ストリーム)による同時通信で品質の向上を図るMU-MIMOが、引き続き送受信の双方向に対応するため、通信品質の向上に直結します。
とくに、多数の機器がWi-Fiに接続される環境では、ネットワークの混雑が緩和され、通信の質が向上するでしょう。
ただし、16ストリームすべてを活用するには、ルーターと端末がそれぞれ対応している必要があります。
新たにMLO(Multi Link Operation)に対応している点も、Wi-Fi 7の大きな特徴です。
これは複数の周波数帯を同時に利用して通信を行う技術ですが、Wi-Fi 6までの規格では、1つの周波数帯にしか接続できませんでした。
たとえば、従来の規格では2.4GHz帯に接続しながら同時に5GHz帯を使うといったことはできず、電波干渉が発生した場合には、接続を切ってから別の周波数帯に切り替える必要がありました。
これに対して、Wi-Fi 7では、2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯のすべてに同時接続が可能です。
これにより、帯域の切り替えに伴う遅延などが軽減され、同時通信量が増加しても、パフォーマンスを維持できます。
また、一時的に通信が不安定になる帯域があっても、ほかの帯域で補完できるため、回線の信頼性が向上します。
従来のWi-Fi規格から性能が大きく向上したWi-Fi 7ですが、実際にどのような用途で活用できるのでしょうか。
ここでは、Wi-Fi 7の用途と活用シーンを紹介していきます。
利用状況を想定しながら確認してください。
4Kや8KなどのUHD動画視聴において、ネットワーク環境が貧弱である場合、動画のスキップやバッファが発生し、低品質での再生になってしまいます。
Wi-Fi 7は、従来の規格と比べて最大通信速度が格段に向上しているほか、帯域幅も320MHzと広いため、高精細動画のストリーミングでも遅延やバッファの発生を抑えることが可能です。
近年、VR(Virtual Reality:仮想現実)や、AR(Augmented Reality:拡張現実)などのクロスリアリティ技術により、物理空間と仮想空間を融合した体験が得られるようになっています。
これらを利用する際は、より没入感を得られるよう、リアルタイム性と大容量データ転送が同時に求められます。
Wi-Fi 7では複数の帯域が活用できるため、通信の安定性が確保され、没入感を妨げるラグや映像の乱れを軽減することが可能です。
ハイブリッドワークは、テレワークとオフィスワークを組み合わせた働き方ですが、インターネット環境の活用が必要不可欠です。
通信環境が不安定なために音声や映像が途切れたり、作業中にパソコンがフリーズしたりすれば、円滑な業務遂行が困難になるでしょう。
Wi-Fi 7は、複数の帯域を同時に利用できるため、オンライン会議やクラウドアプリケーションの利用中でも回線が安定し、音声、映像の乱れが起きにくいのが特徴です。
また、高速・低遅延の特性は、大容量ファイルのクラウド同期やリモートデスクトップ作業などにも効果を発揮します。
家庭に複数のスマート家電を導入している場合も、Wi-Fi 7であれば遅延なくスピーディなレスポンスを実現できます。
MLOによって通信が途切れにくくなるため、例えば、ドアカメラの映像が途中で止まるといったトラブルを回避しやすくなるでしょう。
今後新たなIoTデバイスを導入してもストレスなく使用可能で、快適な生活環境の構築が期待できます。
Wi-Fi 7を利用するためには、新たにルーターやデバイスを用意して、Wi-Fi環境を構築する必要があります。
とくに、Wi-Fi 7の機能や性能を最大限に活用したい場合には、しっかりと機器を選定しなければなりません。
ここでは、Wi-Fi 7に対応している機種も紹介しているので、それぞれ導入の参考にしてください。
スマホやパソコンで Wi-Fi 7を使うためには、そのデバイスが Wi-Fi 7に対応していなければなりません。
今はまだWi-Fi 7に対応している機種はそれほど多くありませんが、対応デバイスは今後増えていくでしょう。
新しい機種だからといってWi-Fi 7に対応しているとは限らないので、事前に確認しておくことが大切です。
例えば、Androidスマホの場合、Snapdragon 8 Gen 2以降のチップを搭載したハイエンドモデルがWi-Fi 7に対応しているケースが多いものの、すべての端末に該当するわけではありません。
また、Wi-Fi 7のメリットである高速通信を最大限に引き出すためには、「320MHz帯域幅」に対応していることが重要なポイントです。
単に「Wi-Fi 7対応」と記載されていても、320MHzに対応していない機種では最大通信速度を得られない可能性があります。
各メーカーの公式サイトや製品仕様書にて、対応帯域幅や通信規格の詳細をチェックすることをおすすめします。
現時点でWi-Fi 7に対応しているスマホは以下のとおりです。
Wi-Fi 7を利用するには、Wi-Fiルーターも規格に対応している必要があります。
端末側が対応していても、Wi-Fi 6以前のルーターでは、Wi-Fi 7の性能を十分に活かすことはできません。
そのため、Wi-Fi 7 に対応したスマホやパソコン、タブレット端末などを利用する場合は、Wi-Fi 7 対応ルーターの導入も検討してください。
導入時には、設置環境に合わせてメッシュWi-Fiやビームフォーミング機能など、用途に合ったスペックを選ぶとより効果的です。
また、ルーターの性能を十分に発揮するには、インターネット回線自体の速度も重要です。
Wi-Fi 7 を利用しても、使用するインターネット回線の速度以上に速くすることはできません。
現時点でWi-Fi 7に対応しているルーターの機種は以下のとおりです。
ここからは、Wi-Fi 7に関するよくある質問に回答していきます。
Wi-Fi 7への疑問を解消し、スムーズに導入できるよう、チェックしてください。
冒頭で述べた通り、2023年12月に総務省は新たな無線LAN通信規格として「Wi-Fi 7」の利用を認可しており、現時点ですでに利用可能です。
解禁が報じられて以降、各社からWi-Fi 7に対応したルーターの発表などが続いており、関連機器や対応デバイスも増えています。
スマホやパソコンのほか、ゲーミングルーターなども対応しており、一般家庭でも利用できます。
ただし、Wi-Fi 7最大の特徴である6GHz帯やMLOの効果を最大限に活かすには、端末とルーターの両方が対応していなければなりません。
Wi-Fi 7には下位互換性があるため、古いパソコンやスマホでもWi-Fi 7対応ルーターに接続できます。
2.4GHzおよび5GHzにも対応しているため、従来のデバイスであっても、これらの帯域で接続が可能です。
ただし、あくまでも接続できるだけで、Wi-Fi 7の持つ高速通信、低遅延、高い安定性などの特長を活用できるわけではありません。
たとえば、Wi-Fi 5や6にしか対応していない端末は、それぞれの規格の最大通信速度でしか接続できず、6GHz帯やMLOといった新しい機能は利用できないので注意しましょう。
Wi-Fi 7は従来の規格と互換性があり、同じ周波数帯を使用する場合は、通信速度が低いほうの規格で通信が可能です。
複数の周波数帯を扱えるため、旧規格の端末には従来通りの帯域で接続が行われます。
新旧混在の環境でも利用できるため、すべてのデバイスがWi-Fi 7に対応していなくても、段階的に移行が可能です。
Wi-Fi 7は基本的に屋内利用を前提にしていますが、2.4GHz帯およびW56に分類される5GHz帯は、屋外での使用が可能です。
一方、W52・W53に分類される5GHz帯は、屋外利用はできません。
また、6GHz帯の運用についても制限があるため、屋外でWi-Fi 7すべての機能をフル活用するのは難しいかもしれません。
Wi-Fi 7は、無線LANの新しい規格で、従来の規格に比べて最大通信速度や接続の安定性が向上しています。
UHD動画の再生やクロスリアリティ技術の利用、円滑な業務遂行にあたって課題になる通信遅延などが軽減され、より快適な通信環境の実現が可能になりました。
Wi-Fi 7を利用するためには、目的に合わせて対応する機器を用意する必要があります。
また、Wi-Fi 7を導入したからといって、契約しているインターネット回線の速度以上は出ない点に注意が必要です。
FLESPEEQ Wi-Fiは、ビジネスにおけるWi-Fi環境をクラウドから設計構築、運用するネットワークサービスです。
一部機種はWi-Fi7にも対応しているため、機器のスペック不足などに起因する通信の不具合を防ぎやすくなります。
わずか3ステップで無線LANが導入できるほか、お客様による設定作業が一切不要なため、業務に支障をきたすことなくご利用いただけます。
30日間の無料トライアルをご用意しているので、まずはお気軽にお試しください。
日本通信ネットワークは、企業ごとに、企画立案から構築・運用までワンストップで、ICTソリューションサービスを提供しています。
IT担当者様が、ビジネス拡大や生産性向上のための時間を確保できるよう、全面的に支援します。
お問い合わせ・ご相談・お見積りは無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
サービスに関するご質問、お見積りご相談他、
お気軽にお問い合わせください。
※弊社休日のお問い合わせにつきましては
翌営業日以降の回答となります。 ご容赦ください。