スパムメール対策は、企業の情報セキュリティにおける重要な要素です。
大量に届くスパムメールの対策を怠ると、情報の流出や改ざんなどの重大な問題に発展することがあります。
そこで今回は、スパムメールへの対処法や、危険なメールを受信しない方法について解説していきます。
スパムメール対策の必要性

スパムメールは、受け取る人の意思に関わらず一方的に送り付けられるメールです。次のように、単なる迷惑メールにとどまらないケースもあります。
- コンピューターウイルスに感染させることを目的としたウイルスメールが送られる
- フィッシングメールから正規のWebサイトに見せかけた偽サイトに誘導される など
いわゆる迷惑メールは、その内容に興味を示した方を顧客にすることが目的なので、大量のメールアドレス宛てに商品広告やサービスの紹介をユーザーの許可なく送信します。
その結果、メールの保存容量がすぐに満たされたり、大切なメールを探すのに時間がかかったりといったことが起こりがちです。
ウイルスメールやフィッシングメールは、より深刻なセキュリティリスクを発生させる可能性があります。
例えば、ウイルスに感染して機密情報が流出したり、身に覚えのない代金を請求されたりといった被害が考えられるでしょう。
なかでもフィッシング事例は年々増加しています。
フィッシング対策協議会の1ヶ月ごとの報告書では、2023年11月の約8万件に対し、2024年10月には約18万件と、2倍以上の増加が報告されています。
このように、スパムメールには迷惑メール以外の悪質なものも含まれることから、セキュリティリスクを高めないよう適切な対策が必要です。
スパムメールが届いた場合の対処法
スパムメールは、ただ届いただけで重大なセキュリティインシデントが発生することは考えにくいです。
ただし、メールを受け取った後の行動によっては、ウイルス感染やデータの流出といった問題に発展しかねません。
これらのトラブルを防ぐためには、スパムメールが届いた場合の対処法を知って、適切に行動する必要があります。
メールを開封しない
スパムメールの可能性があるメールを受信した際には、まず、アドレスやタイトルを確認しましょう。少しでも怪しいと思ったら絶対に開封してはいけません。
マルウェアの感染を狙ったスパムメールでは、多くの場合、本文のURLや添付ファイルを開いたタイミングでマルウェアに感染するケースが一般的です。
しかし、なかにはメールを開封しただけでマルウェアに感染するパターンもあるため、不要に開封してはいけません。
不審なメールや身に覚えのないメールは原則として開封せず、無視して削除することで被害を防げます。
リンクや添付ファイルを安易に開かない
不審なメールに記載されているリンクや添付ファイルは危険なため、安易に開かないようにしましょう。
例えば、フィッシングメールの場合は、リンクをクリックすると詐欺サイトにつながり、機密情報や個人情報を盗取されかねません。
また、メールに添付されたファイルも、ダウンロードやインストールによって端末にマルウェアが忍び込む可能性があります。
前述のとおり、スパムメールによる被害は、その多くがリンクや添付ファイルを通じて発生します。
不審なメールは開かないことが原則ですが、万が一開いてしまったとしても、リンクや添付ファイルを開かなければ、リスクは軽減できるでしょう。
機密情報の入力は避ける
スパムメールでは、再配達やアカウントの不正利用などを装って、氏名や会社名、メールアドレス、電話番号などを入力させるケースに注意が必要です。
このような情報を入力してしまうと、悪意のある第三者に情報が盗み取られ、データの流出や改ざんにつながる恐れがあります。
特に、口座番号やクレジットカードの情報は、入力することで金銭をだまし取られるリスクが高いです。
もし身に覚えのない不審なメールを開いたとしても、大切な情報の入力は避けましょう。
関係者へ連絡する
スパムと思われるメールを受信したら、上司またはシステム管理をしている部署へ、速やかに報告を行いましょう。
場合によっては、メールアドレスの変更や社内のセキュリティ環境の見直しなどが必要になる可能性もあります。
報告せずに放置しておくと、社内にウイルス感染などの被害を広げてしまうかもしれません。
重大なセキュリティインシデントを発生させないためには、スパムメールの詳細や、そのとき取った行動などの報告を徹底する必要があります。
スパムメールを受信しないための対策

スパムメールが届いた際の対応は大切ですが、そもそもスパムメールが届かないようにすることも考えてみましょう。
具体的には、怪しいメールを水際で阻止して従業員の目に触れさせない、ユーザーやシステムがスパムメールを簡単に識別できるようにする、といった対策が考えられます。
総合的なセキュリティ対策ができるUTMや、セキュリティソフトなどを導入すると効果的です。
UTMを導入する
UTMとは、「Unified Threat Managemen(総合危機管理)」の略で、複数のセキュリティ機能を有するハードウェアを指します。
一般的には以下のような機能が搭載されており、ネットワークの入り口で様々なセキュリティ対策を行います。
- ファイアウォール
- IDS/IPS
- アンチウィルス
- アンチスパム
- Webフィルタリング
このうちアンチスパムは、スパムメール対策として有効な機能です。
スパムメール以外にも、サイバー攻撃、マルウェア感染、内部の不正行為など、さまざまなセキュリティリスクに対応できるので、優先的に導入を検討するとよいでしょう。
参考記事:
UTM(統合脅威管理)とは?概要や主な機能、導入事例を解説
メーラーの迷惑メール対策機能を利用する
メーラーの迷惑メール対策機能の一つに「受信拒否機能」があります。
手軽に利用できるため、まずはこの機能を利用してスパムメール対策を行うのがおすすめです。
送信者のメールアドレスやドメインを指定することで、次回から該当するメールを拒否することが可能になります。
ドメインとはメールアドレスの「@以下の部分」を指します。特定のメールアドレスではなくドメインで受信拒否設定をすれば、より広い範囲のメール受信を回避できるでしょう。
また、メーラーによってはスパムメールを自動的に判別し、迷惑メールフォルダに格納してくれるケースもあります。
これにより、例えば不正なURLが記載されているメールや空メールなどは、自動的に迷惑フォルダに移行されます。
これらの機能はメーラーによって異なるため、利用しているメーラーにどのような迷惑メール対策機能があるのかを確認してみましょう。
セキュリティソフトの迷惑メール対策機能を利用する
市販のセキュリティソフトには、迷惑メール対策機能が搭載されているものもあるため、それを利用するのもよいでしょう。
たとえば、プレフィックス文字列を追加する機能があれば、迷惑メールとして分類されたメールの表題に、[SPAM]などの文字を追加することが可能です。
これにより、ユーザーやシステムがスパムメールを簡単に識別できるようになります。
このほか、セキュリティソフトによっては次のような機能が使える場合もあります。
- 迷惑メールフォルダに入れたメールに問題がなかった場合、再び受信トレイに移動する機能
- 迷惑メールスコアのログを記録できる機能 など
すでに、使っているセキュリティソフトがある場合は、これらの機能の有無を確認してみましょう。
プロバイダの迷惑メール対策機能を利用する
プロバイダのなかには、独自の迷惑メール対策機能を提供しているものもあります。
無料で利用できるサービスや、高品質な機能を有料で利用できるプランなどが用意されている場合もあります。
プロバイダ独自の迷惑メール対策としては、メールに受信制限をかける機能などが代表的です。
この機能は、スパムの可能性があるメールを検知した際にサーバー上で隔離してくれるため、クリックなどの行為による被害の拡大を防ぎます。
このほか、隔離したスパムメールを「フォルダ分けタイプ」「ラベリングタイプ」といった種類に分類する機能も代表的です。
安易にメールアドレスを登録・公開しない
企業や個人のメールアドレスを、ホームページ、Webサイトなどで公開しないことも、効果的なスパムメール対策です。
ホームページやWebサイトで公開されているメールアドレスは、プログラムで自動的に収集されてリスト化されます。
このリストがスパムメールの送信先として悪用されることがあるため、注意が必要です。
また、ネット上のサービスにメールアドレスを登録すると、情報が流出したり、悪意のある第三者によってスパムメールの標的にされる可能性もあります。
Webサイトでは安易にメールアドレスを登録せず、信頼できる運営元であるかを必ず確認しましょう。
複雑なメールアドレスにする
スパムメールの送信者は、アドレスとして使用されていそうな文字列を推測し送信先に設定することがあります。
たとえば、@の前が数字のみなど、短くシンプルなアドレスだった場合は、推測されやすく、スパムメールが届きやすくなるでしょう。
メールアドレスはログイン情報としても用いられるため、容易に推測されるようでは危険です。
また、文字列の中に名前や生年月日など、個人情報を入れるのもおすすめできません。
これらの個人情報やシンプルな文字列を避け、英字や数字を組み合わせて複雑なアドレスを作ることで、スパムメールの受信を防げます。
ルールやマニュアルを周知徹底する
スパムメールによる被害を防ぐためには、次のようなルールを策定し、社内で周知徹底する事が重要です。
- スパムメールが届いたら開封しない
- 開封しても内部のURLや添付ファイルは開かない
- スパムメールが届いたら報告をする
また、メーラーやセキュリティソフトにおけるセキュリティ対策の方法をまとめ、マニュアル化するのも一案です。
セキュリティ意識の向上を目的とした研修などを定期的に開き、従業員個々のリテラシーを高めましょう。
このほか、業務に無関係なWebサイトでメールアドレスを登録した場合には罰則を設ける、といった取り組みも必要です。
スパムメール対策なら「FLESPEEQ UTM」がおすすめ
スパムメールが届いた場合、そのメールを開いたりリンクをクリックしたりすることでウイルス感染などのリスクが高まります。
また、アクセスしたサイトで個人情報を入力することで、データの流出やクレジットカードの不正利用といった被害に遭う可能性もあるでしょう。
そのため、スパムメールに対してはメールを開封しない、リンクをクリックしないといったルールを策定することが大切です。
しかし、スパムメールを受信し続けていればセキュリティインシデントが発生することもあるため、そもそも受信しない、従業員まで届けないための対策が必要です。
FLESPEEQ UTMには、アンチスパムを含めた、さまざまなセキュリティ機能が搭載されています。
UTMは、ネットワークの出入り口に設置する機器のため、大量の迷惑メールを入り口で阻止することが可能です。
ファイアウォールやWebフィルタリング、IPS/IDS機能なども備わっているので、包括的なセキュリティ対策を実現します。
弊社に設定や運用をお任せいただくこともできるため、ネットワークやセキュリティの専⾨家がいなくてもスピーディーにUTMを導⼊できます。
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