
セキュリティ 2025.07.04
2025.07.04
セキュリティ
サイバー保険は、サイバー攻撃による損害が発生した際に、補償を受けられる保険です。
しかし、「セキュリティ対策をしていれば、サイバー保険は不要」という声もあり、加入に踏み切れない方も多いのではないでしょうか。
実際に、日本企業のサイバー保険加入率は高いわけではなく、いらないという意見が多いのも事実です。
しかし、サイバーリスクは年々増加傾向にあるため、簡単に「サイバー保険はいらない」と判断してしまうのは危険です。
そこで今回は、サイバー保険の重要性と、加入するメリット・デメリットについて解説していきます。
自社にとっての必要性を見極め、必要なセキュリティ対策、強化策を講じましょう。
日本損害保険協会の「中小企業におけるリスク意識・対策実態調査2024 調査結果報告書」によると、企業のサイバー保険加入率は、わずか10.0%にとどまっています。
最も多い火災保険には64.6%が加入していることから、その少なさが目立つ数値です。
サイバー保険に加入しない理由としては、主に以下の点が挙げられています。
このように、サイバーリスクそのものや、被害のイメージがしにくい点が、「いらない」という判断につながっているようです。
しかし、サイバー攻撃は決して他人事ではなく、いつ自社を襲う脅威となるかわからないため、リスクを軽視せずに備えておく必要があります。
事業規模が小さいから、または必要性を感じないからといって、安易に「サイバー保険はいらない」と判断するのは危険です。
サイバー攻撃の件数や危険度は年々増しており、たとえ事業形態が変わっていなくても、リスクが高くなっている可能性があります。
また、万が一被害に遭ったときの損害を把握できていなければ、サイバー保険を不要と言い切るのは早計です。
サイバー保険はいらないと判断する前に、まずはサイバーリスクについて、理解を深めておきましょう。
企業を狙ったサイバー攻撃の件数は増加しており、大企業だけでなく中小企業がターゲットにされる傾向が強まっています。
前述の「中小企業におけるリスク意識・対策実態調査2024 調査結果報告書」でも、2024年には16.3%の企業がサイバー攻撃の被害を報告しており、2021〜2023年の5%台から急増しています。
また、直接的な被害だけでなく、セキュリティ対策が手薄な企業が入口として悪用されるのも、近年のサイバー攻撃の特徴です。
テレワークやクラウドサービスの普及で攻撃の入口が多様化しているため、よりサイバー保険が重要になっています。
サイバー攻撃の手口は、従来のフィッシング詐欺やウイルス送信のような、単純なサイバー攻撃にとどまりません。
従来の攻撃にソーシャルエンジニアリングを組み合わせるなど、その手口は巧妙化しています。
ソーシャルエンジニアリングとは、マルウェアを用いることなく情報を盗む手法です。
たとえば、従業員になりすまして請求書の振込先を変更させるといったビジネスメール詐欺のように、被害者が違和感を抱きにくい手口も増えています。
このように、高度化・巧妙化するサイバー攻撃を完全に防ぐのは難しく、どんな企業も、セキュリティホールを突かれる可能性があります。
サイバー攻撃を受けた場合、その損害はシステムの復旧やデータ復元費用だけにとどまりません。
事故の規模や被害の範囲によっては、事故調査、損害賠償にかかる費用など、多額のコストが生じる可能性があります。
損害賠償責任は、主に次のようなデータが流出した際に発生します。
たとえば、氏名、メールアドレス、電話番号などの個人情報が流出した場合は、一人あたり数千円〜数万円の賠償となる可能性が高いです。
さらに深刻なのが、クレジットカード情報が流出、不正利用された場合です。被害額まで補償するため、被害者の人数によっては数千万の賠償になることも珍しくありません。
他企業の機密情報漏洩にいたっては、億単位の損害賠償になるケースもあるでしょう。
こうした多額の損害が生じれば、企業の業績に多大な影響がおよびます。
サイバー攻撃によって顧客情報や機密データが流出した場合、最も深刻なダメージとなるのが信用の失墜です。
サイバー攻撃を受けた企業は被害者ですが、顧客の視点で考えれば加害者と同じです。
なかでも、個人情報漏洩に対しての社会の目は厳しく、対応を誤れば、SNSやメディアでの炎上にもつながります。
たとえ直接的な被害が軽微だったとしても、企業のブランドイメージや将来的な売上に大きく影響し、場合によっては今後の事業継続が危ぶまれる恐れもあります。
企業が一度失った信用を回復するには、長い時間と多くのコストがかかるため、その費用の一部が補償されるサイバー保険は、危機管理の一環として有効です。
サイバー保険に加入する主なメリットとしては、以下が挙げられます。
具体的な補償内容を知ることで、自社に必要な補償やインシデント発生時のサポートなどが明確になります。
先述の通り、現在はどのような企業でもサイバー攻撃による被害を受ける可能性があり、その損害額は数千万円〜数億円に上るケースもあります。
サイバー保険に加入していれば、こうした損害額に対して、次のような幅広い保障を受けることが可能です。
情報漏洩が発生すると、企業は賠償義務を負うことが多く、その金額は甚大になりがちです。
被害者の人数や損害の深刻度によっては、賠償金が数千万円から億単位になるケースもあるため、企業にとっては重大な経営リスクです。
サイバー攻撃に伴う損害賠償金や、訴訟に必要な費用を補償してくれるのが、サイバー保険最大のメリットです。
例えば、自社がサイバー犯罪にまきこまれて営業停止になり、取引先に多大な利益損失を与えた場合などに補償が受けられます。
また、自社の従業員により、顧客の個人情報が流出した場合の訴訟対応費用なども含まれるのが一般的です。
サイバー犯罪による被害が生じた場合、その事故対応は多岐にわたりますが、それらにかかる費用を補償してくれるのもサイバー保険の特徴です。
事故対応にかかる費用としては、主に以下のようなものが挙げられます。
これらの対応には高額な費用がかかるうえ、迅速な意思決定と実行が求められます。
そのため、費用だけでなく事故対応そのものをサポートしてくれるプランに加入していると、より安心です。
ただし、こうした事故対応のサポートは、賠償保障のみに比べて、保険料が高額になるため、慎重に検討する必要があります。
サイバー保険に入っておくことで、いざというときに費用面の負担を軽減し、適切な対応がとれる可能性が高まるでしょう。
サイバー攻撃の被害によってシステムが停止した場合、企業は一時的に業務を中断せざるを得ません。
そうした利益損失に対する補償が受けられるのも、サイバー保険に加入するメリットです。
たとえば、自社サーバーが攻撃を受け、取引が不可能になった際、見送られた分の利益は減少します。
サイバー保険には、こうした営業停止にともなう利益損失の補償が含まれているケースがあり、業務再開までに発生した損失を一定額まで補填してくれます。
このほか、営業を再開するために必要な代替システムの構築費用や、臨時の人員配置費用など、営業継続を目的とした支出についても補償の対象になることが多いです。
サイバー保険の加入に際して、脆弱性診断や、セキュリティリスク診断といったサービスを受けられる場合があります。
これは、企業のITインフラや業務プロセスにおける脆弱性を分析して、リスクを把握するためのもので、保険の付帯サービスとして、無料または割安で提供されるのが一般的です。
この診断によって、見落としがちなセキュリティホールや、人的ミスの可能性、内部不正のリスクなどが明らかになります。
診断結果をもとに改善策を実施すれば、サイバー攻撃を受けたり、インシデントが起きたりする前に対策できるでしょう。
サイバー攻撃を受けると、技術的な対応、再発防止策、法的対応、顧客への説明など、多方面における緊急対応を迫られます。
復旧作業や関係各所への連絡などに多くのリソースが割かれるため、自社だけで対応するのは困難なケースが多いでしょう。
こうした万が一の事態にサイバー保険に加入していると、保険会社が提携する次のような専門事業者から、サポート・支援を受けられます。
これらのサポートにより、企業はサイバー攻撃のリスクに対して、迅速かつ効果的に対応することが可能となります。
専門家による支援サービスは、保険会社やプランによって提供される内容が異なるため、十分に検討したうえで、自社のニーズに合った保険を選択しましょう。
サイバー保険への加入を検討する際には、以下のようなデメリットも把握しておきましょう。
とくに補償範囲については、理解していないと大きな損害につながる可能性があるため、注意が必要です。
サイバー保険は、非常に幅広いリスクをカバーしますが、全ての被害を補償してくれるわけではありません。
例えば、自然災害によるシステムの停止や破損は、補償の対象外になるケースが多いです。
また、ランサムウェアに感染した際の被害は、自社の対応次第で、補償対象にならないことがあります。
ランサムウェアに感染した場合、システムダウンに対する復旧費用や原因究明、調査にかかる費用などは、補償の対象になります。
ここで注意しなければならないのは、システム復旧のために支払った身代金は、補償の対象外になる点です。
身代金の支払いは、法律で禁止されているわけではありませんが、犯罪を助長する行為として罰則の対象になる可能性があります。
また、支払ったからといって、確実にシステムが復旧するとは限らない点にも注意しなければなりません。
サイバー保険は、主にハッキングやウイルス感染、不正アクセスなどの、サイバーリスクを補償対象にしています。
そのため、次のように、自然災害や物理的な事故に起因するトラブルなどは、一般的なサイバー保険では補償されません。
たとえば、物理的な被害でサーバーがダウンし、結果として業務が停止しても、それがサイバー攻撃によるものと認定されなければ、サイバー保険の適用外です。
サイバー保険は、被害による損害を補償するための手段であって、サイバー攻撃や被害を未然に防ぐものではありません。
そのため、セキュリティ対策を怠れば、当然被害を受けるリスクが残ります。
サイバー攻撃自体そのものを防ぐためには、ファイアウォールやアンチウイルスといった、さまざまなセキュリティツールの導入が必要です。
ただし、それらのツールを単体で導入していては、コストも管理負担も膨大になってしまいます。
そこでおすすめなのが、複数のセキュリティ機能を一つに集約したUTMの導入です。
サイバー保険とUTMをあわせて活用することで、より強固なセキュリティ体制を構築することが可能です。
企業の規模や取り扱う情報、セキュリティ環境によっては、サイバー保険の保険料が高額になるケースもあります。
例えば、個人情報や決済情報を大量に扱う企業など、リスクが高いと見なされれば、年間で数十万円〜数百万円の保険料がかかることも珍しくありません。
また、補償範囲やサービスの幅を広く設定したり、高額な補償額を希望したりするほど、保険料も上がります。
とくに中小企業にとっては、サイバー保険が大きな経費になる可能性が高いため、加入前に「本当に必要な補償内容はどこまでか」をしっかり見極める必要があります。
世の中には、サイバー保険がいらない、加入の必要性が低い企業も存在します。
ただし、それはサイバーリスクがゼロという意味ではなく、保険に頼らなくてもリスク対処が可能、またはコストに見合う価値がないと判断できる場合です。
具体的には、以下に該当する企業が挙げられます。
上記に該当する場合であっても、自社のサイバーリスクを定期的に検証し、必要に応じてサイバー保険への加入・見直しを行い、サイバーセキュリティを高めておくことが重要です。
「自社にはサイバーリスクが発生する可能性は低いと思う」「被害によって生じる影響がイメージできない」などの理由から、サイバー保険に加入していない企業は少なくありません。
しかし、手口が高度化・巧妙化しているサイバー攻撃の現状や、実際に被害に遭った場合の多額の損失を考えると、安易に「いらない」とはいえないでしょう。
サイバー保険に入っていれば、被害者に対する損害賠償や、事故後の対応にかかる費用に対して補償が受けられます。
ただし、サイバー保険は、サイバー攻撃とその被害自体を防ぐものではない点には注意が必要です。
被害が起きてからの保険だけでなく、セキュリティツールを用いて、リスクを未然に防ぎましょう。
FLESPEEQ UTMは、複数のセキュリティ機能を集約したセキュリティツールで、ネットワークを包括的に保護します。
不正侵入やウイルスメールなどからネットワークを守るほか、従業員による不正なWebサイトの閲覧といったリスクに対処することが可能です。
また、導入支援や保守サポートなど、お客様の要件に合わせたセキュリティ対策をご提供します。
日本通信ネットワークは、企業ごとに、企画立案から構築・運用までワンストップで、ICTソリューションサービスを提供しています。
IT担当者様が、ビジネス拡大や生産性向上のための時間を確保できるよう、全面的に支援します。
お問い合わせ・ご相談・お見積りは無料ですので、お気軽にお問い合わせください。
サービスに関するご質問、お見積りご相談他、
お気軽にお問い合わせください。
※弊社休日のお問い合わせにつきましては
翌営業日以降の回答となります。 ご容赦ください。