ネットワークコラム
TOP > ネットワークコラム > IoT時代の多様化するネットワークの悩みとは? -IoT向け通信の基本
2018.02

IoT時代の多様化するネットワークの悩みとは? -IoT向け通信の基本

IoTとはInternet of Things の略で、直訳すると「モノのインターネット」という意味になります。

01アイデア次第で効果抜群。中小企業こそIoTに注目すべきその理由とは?

IoTとはInternet of Things の略で、直訳すると「モノのインターネット」という意味になります。「インターネット」といえばこれまではパソコンや携帯電話という「人間が使う情報端末」用のものだったのに対して、IoTは自動車のような大きなものから温度計のような小さなものまで、情報端末ではない「モノ」をインターネットに接続するしくみです。

現在IoTへの注目が高まっている理由は、使いようによってはビジネスのしくみを大きく変えるポテンシャルがあるためです。たとえばタクシー会社が自社車両をIoT化すると車両の位置や速度、エンジンの状態などを遠隔で把握することができるため、配車の最適化や予防保全、省エネ/安全運転の推進に役立てることができます。農場にセンサーを張り巡らして温度・湿度・風速などを取得すれば、きめ細かな農場管理が可能になり作物の品質向上に役立てることができます。

IoTの本質的な意味とは、これまで人間にしかできなかった仕事を代行させて「現場を回すちょっとした工夫」を加速できることにあります。たとえばこれまでは人間が温度計を見て温室の窓を開け閉めしていたものをIoT化すればその作業は無人化できるので、人間は他の仕事をすることができます。低予算でも工夫次第で絶大な効果が得られて人間の力を最大限に活かす切り札となりうるIoTは、人手不足の中小企業にとってこそ利用価値が高い仕組みと言えます。

02モノのインターネットと呼ばれるIoTの基本的なしくみとは

IoTの基本的なしくみは大まかに、末端で情報の取得や機械の制御をする「デバイス」、その情報を集めて処理をする「バックエンド」、バックエンドまで情報を運ぶための通信路である「ネットワーク」、そしてデバイスとネットワークをつなぐ「ゲートウェイ」の四層に分かれます。1つのビル内や地域で完結するような狭い範囲で使うIoTなら「ネットワーク」はLANで済む場合もありますが、広い範囲で使う場合はインターネットを経由するケースが多くなります。

IoTの流行をもたらした理由の1つは、IT・通信技術が発達したため非常に小型かつ低消費電力の機械でもインターネット接続が可能になったことにあります。20年前であればインターネットに接続するためには最低でもノートパソコン程度の装置が必要でしたが、現在では指先に乗る程度のチップで無線接続が可能です。そのための費用も劇的に低下したため、自動車やジェット機のように大きな移動体から小さな温度計までありとあらゆるものを「デバイス」としてインターネットにつなぐことができます。

その結果、IoTはこれまでIT化が遅れていたアナログな業界でこそ役に立つものになりました。たとえば今でも「杜氏」と呼ばれる伝統的な職人に頼るケースが多い日本酒地酒業界でも多様なセンサーを駆使して酒作りの工程を分析・管理し、高品質な日本酒を低コストで安定的に生産することを可能にした例があります。

03IoT向けのネットワークはPCや携帯のネットワークとはひと味違う

IoTという名前はついていても実際には必ずしもインターネットにつなぐ必要はありません。たとえば静岡のお茶畑では気温が3度以下になると送風機が回る仕組みを作って霜害を防止していますが、このように狭い範囲でのIoTならローカルなLANがあればインターネットは不要です。

実はIoT向けのネットワークには既存のネットワークとは違う特徴がいくつかあります。これまでのネットワークはパソコンや携帯電話を介して人間が使うために発達してきたため、スピードを重視し消費電力を軽視したものでした。ところがIoTではたとえば電源のない畑で1年間電池交換無しで稼働させ続けたい代わりに通信速度は人間が使う1000分の1以下で良い場合もあるなど、スピードよりも消費電力や小型軽量性が重要なことがあります。また、人間がインターネット・ブラウジングをするときは下りの通信速度が重要なのに対して、IoTでセンサー網を作る時は上りの通信速度が重要です。

このようにIoT向けのネットワークには人間向けとは違う特性が求められるため、近年特にIoT用無線通信の技術やサービスの多様化が進んでいます。

04IoTと既存のネットワークを一括して構築・運用するために

選択肢が広がるという意味では良いことですが、多様化が進めば進むほど、最適なサービスを選択するのは難しくなります。たとえばIoT向けの無線通信サービスは大まかにセルラー、WiFi、PAN、LPWAといったカテゴリーに分類され、それぞれがさらに具体的な仕様の細かく違う個別のサービスに分かれています。IoT構築経験の少ない一般の会社がそれらの中から最適なサービスを選び、自社のPCや携帯端末向けに構築した既存のネットワークに統合していくのは容易なことではありません。

さらにここでも問題になるのがセキュリティです。IoTのデバイスやゲートウェイは「頻繁にセキュリティアップデートを行うことが難しい」、「そもそも高度なセキュリティ機能を持たせられない」、「止めることができない場合がある」など、PCや携帯端末とは違うセキュリティ上の特性を持っているため、既存のネットワークとは違う考え方でセキュリティ対策を施す必要があります。

人手をかけていたアナログな仕事の多くを代替できるIoTは人手不足に悩む中小企業の強い味方になりうるシステムですが、それを安全に活用するためにはネットワークとIoTの両方についての知識と経験が必要です。まとめて任せられる相談役を見つけておきましょう。